●更新日 03/02●
日本最強の呪術師が住む村
四国、高知の山奥に日本最強の呪術師が存在する! 今なお古(いにしえ)の術法を伝えている村があるという…。
日本の呪術でまず思い出すのは平安時代に活躍した安倍清明の“陰陽道”。高知県香美市物部町(旧物部村)には、その陰陽道を異種独特に進展させた『陰陽道・いざなぎ流』という術法が伝わっていて、今もその術法を使う太夫(術師)さんがこの村(町)でさまざまな呪術儀式を行っているといいます。
実際に使われていた不気味な面(物部村歴史民俗資料館所蔵)
いざなぎ流の太夫さんは陰陽道と同じく、式神という使い魔(ゲームなどの召喚獣のイメージ)を駆使して依頼主の願いを叶えます。
いざなぎ流の儀式は民俗、歴史学においても謎が多いとされています。判明しているところによれば式神は式王子と呼ばれ、やはり異界から人型の紙幣を依代として呼び出すのですが、多く使われるのは犬とされています。
ある猟師が山間で下半身が石で挫かれた犬を見つけて介抱しました。しかしそれは使い魔である式神で、呪いの念が犬を通じて猟師にかかり、呪われてしまいます。そうして猟師は没落し最後は亡くなってしまうのです(村に伝わる昔話)。
恐ろしい呪いの力を秘めたいざなぎ流の太夫さんに会いに、フェリーで徳島、車を飛ばして道なき道を超えついに着いた物部村(町)は、急な斜面にへばりつくまさしく寒村でした。
太夫を迎え例大祭を開くといわれる村の鎮守、小松神社へとさらに深い森を抜け到着すると社務所で作業中の職員(住人さんだそうです)のおじいさんにこんな話が聞けました。
いざなぎ流太夫を説明してくれた住民
「太夫はもう数人しかおらん、みな年寄りじゃで例祭以外はよう会えません」
そんなっ! 残念がると、太夫さんはそもそも村の尊敬と畏怖を集める特別な人たち、わずかになった村民たちもそうは会えないとのこと。
その代わりと、神社の裏に案内され、そこで見たものは…。
竹で組まれた祭壇には風にたなびく御幣(ギザギザの神)と異界から式王子を呼ぶ依代としての人型が無数に祀られていました…。
境内裏手に組まれた“いざなぎ流”の祭壇
この数だけ呪いが行われたのですか? 神社のおじいさんは「これは前回の使ったやつで… 山は陽が落ちるのが早いで、早くかえんなさい」その問いには答えてくれませんでした。
日本の山奥には、呪いを生業(なりわい)とする最強の呪術師が今もなおひっそりと活躍しているのです…。
木之下秀彦
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