
ホスト業界団体「日本ホストクラブ健全化推進協議会(JHCA)」が10月6日、ホストの役職と売上ランキングの可視化制度を再導入する方針を盛り込んだ声明を発表しました。
この制度は、2025年6月の風営法改正によって禁止されたばかりのもので、今回の発表は事実上の“復活宣言”と見られ、業界内外に衝撃が走っています。
背景:信頼と満足感の「見える化」狙う
ホストクラブでの役職表示には、顧客が「この人は信頼できる存在だ」と判断するための材料になる側面があります。
また売上ランキングを導入することで、女の子が自分の支払いが推しの順位に反映される“達成感”を得られるようにし、顧客満足度の向上を狙っていると考えられます。
声明の具体内容:SNS限定でのランキング発信
JHCAの声明によれば、売上ランキングは店舗のSNS(公式InstagramやXなど)での発信に限定されます。また、役職については名刺やホスト個人のプロフィールへの記載のみが許可されており、店内での掲示や大々的なアピールは禁止される方向とされています。
懸念:再び“貢がせる構造”に戻る恐れ
制度が再導入されれば、「推しをランクインさせたい」「昇格させたい」と願う女の子たちが、自分のキャパシティを超えてお金を使う状況が再び発生する可能性があります。かつては数十万円〜百万円単位の出費が繰り返され、生活が破綻するケースも少なくありませんでした。
現場の声:「うちはやらない。摘発が怖い」
制度の復活に対しては、現場のホストクラブ関係者から慎重な声も聞かれます。
ある現役幹部はこう語ります。
「うちの店は、声明が出たとしてもランキングや役職の公表はしない。そのうちに改正した風営法に違反したとして、見せしめに摘発される店が出てくると思う。うちは摘発されたくありませんから」
2025年6月の風営法改正では、ホストクラブの過剰な売上競争や誇示的な表現が明確に規制対象とされており、**「見せ方次第で即・違法」**というリスクを現場も理解しているようです。
警察庁は声明を出していない
なお、この声明はJHCAのみが発表しているものであり、風営法を監督する警察庁などの行政機関は何も発表していません。そのため、制度の法的な裏付けや行政の正式な指示とは異なることに留意が必要です。
今回の制度復活は、業界の“健全化”という建前のもとに行われていますが、その実態は依然として“搾取と依存”の構造を温存したままかもしれません。
摘発を恐れる現場と、可視化を進めたい業界団体──このねじれの中で、ホスト業界は再び揺れています。

櫻麗
猫と紅茶があればご機嫌です

