2013年、京都に本社を構える「餃子の王将」の社長が拳銃で殺害されるという衝撃的な事件が発生しました。今回の裁判においては、特定危険指定暴力団「工藤会」の関与が明らかにされ、組織の幹部・田中幸雄被告が殺人と銃刀法違反の罪に問われています。そして、11年の時を経た今、最高裁判所は裁判員裁判を排除し、裁判官だけでの審理を行うことを確定させました。この判断には、日本の裁判制度の課題が色濃く浮かび上がります。
<裁判員制度を巡る対立>
暴力団の犯罪に関する裁判で、裁判員裁判を採用しないケースは過去にもありましたが、本件での決定は改めてその難しさを浮き彫りにしました。裁判員裁判制度は、一般市民が司法に参加し、国民の視点で判決を下すことを目的としていますが、暴力団組員が関わる裁判の場合、裁判員に対する報復や脅迫の危険性が常につきまといます。
京都地裁では「工藤会の組員らが裁判員に危害を加えるおそれがある」という理由で、裁判員裁判から除外されることが決定されました。裁判員制度は社会の多様な視点を取り入れる制度ですが、このような暴力団関与の事件では、むしろその制度が「人々を危険にさらす要因」となる矛盾が存在します。
このような「裁判員制度の限界」とも言えるケースに対し、弁護側は「裁判員裁判にすべきだ」と即時抗告しましたが、大阪高裁も最高裁も最終的に退け、結果として裁判官のみでの審理が決定しました。
<裁判員不採用のリスクと意味>
裁判員制度が導入されて以来、市民参加による「より公正な判断」が期待されてきました。しかし、今回のような「危険性が高い」と判断される事件では、市民の安全を守るために裁判員制度が適用されないケースが増えています。ここには、制度自体の限界と、危険な事件に対する司法の姿勢が表れています。
裁判員裁判の排除が一般市民に与える影響について考えると、暴力団関係者が関わる事件が裁判員排除の一因になっている現実は、いまだに暴力団が裁判員裁判制度に与える影響が大きいことを示しています。裁判員制度が現実の暴力に対して無力である現実は、日本の司法制度における「影の存在」ともいえるでしょう。
<おわりに 探偵の視点から>
「餃子の王将」社長殺害事件は、その解決に至るまでの道のりが長く、また難しいものでした。裁判員制度が市民の安全を脅かすリスクがある事件において、どのように司法が対応するかは、日本の法制度の成熟度が問われるポイントでもあります。
探偵としての視点からも、今後の司法制度と暴力団問題の関係性について、さらに注目し続けるべきと考えます。今後も同様の事件が発生した際に、市民の安全を確保しながらも公正な裁判が行われるための新たな制度改革が求められるのではないでしょうか。
探偵N
得意分野は、地域密着型の調査とグルメ探訪。地元住民との深いコネクションを活かし、現地でしか手に入らない情報や事件を次々と掘り起こします。