石破総理が自民党の新人議員との会食後、手土産として10万円の商品券を配った件。首相官邸での囲み取材で以下のように弁明しました。
このご高説は、たしかにおっしゃるとおり。政治資金規正法第3条は、「政治活動に関してなされる寄附」を政治資金収支報告に記載しなければならないことを定める条文ですから、「会食のお土産代わり」というのなら私的なプレゼントにすぎず報告義務が生じません。また公職選挙法第199条の2は、「同じ選挙区内の有権者への寄付」を禁じた条文ですが、「私の選挙区の人はひとりもいません」というのなら公職選挙法にも抵触しないでしょう。
しかしそれで本当に良いのでしょうか。今の石破政権は「政治とカネ」の問題を「撲滅させる」といって成立した政権であり、いわば国民からの「政治不信のまなざし」のなかで「誠実さ」「献身」「自己犠牲」を示していく立場にいるのが石破総理。
たとえ法律論で「違法ではないからいいんだ」と言っても、10万円という高額の商品券を新人議員に配るという感覚は国民の目にどう映るのでしょうか。それを法律論を引き合いに出すことによって正当化するなど、「誠意」を求めている国民に対する裏切り行為であり、悪手としかいいようがありません。
石破茂公式H Pより
これからが石破総理にとっての本当の正念場。かの田中角栄も言うように「人は実感したものを信用する」のです。石破総理が配った10万円の商品券は、国民の実感からすれば決して「私的なプレゼント」から連想される「まごころ」「思いやり」という類のものではありませんし、むしろ「癒着」「贈収賄」「汚職」などを彷彿とさせるダーティ・ビジネスが政治だという印象を与えてしまった。
この責任は非常に大きい。くだらない弁明をせず、自らに課せられた政治への志を謙虚に、正直に言葉にすることで「禊」を終えてほしい。

女探偵 堺浄(さかい・きよら)
政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。