「一大プロジェクト」の記事の内容はその通りです。AIの進化のペース、そしてロボット導入のペースを考えると20年かからないかもしれません。実際、現在世界で最もロボットを導入しているのは、人口14億人の中国ですから。
では、AIとロボット、つまりデジタルが大抵の仕事をやるようになる時代が確実に来る中、人間はどうすれば良いでしょうか。米国の専門家の議論を見ていると、デジタルに代替できない人間の強みが二つあります。
一つは「クリエイティビティ」(創造的な発想をする力)です。デジタルはネット上に既に存在するデータを組み合わせるので、これまで世の中に存在しなかった斬新な新しいアイディアを作り出せません。
もう一つは「ホスピタリティ」です。例えば、ロボットは介護でも使われ出していますが、データに基づくお世話になるので、寝たきり老人の目や表情からどこが痛いかを推察するような、痒い所に手が届く対応は無理です。
従って、人間が仕事でデジタルに負けないようにするには、この二つの強みのどちらか、できれば両方とも強化することが不可欠になります。
そう考えると、BOZZが考えている新しい総合事業は両方の強みを兼ね備えたビジネスなので、すごく理に適っていると思います。ビジネスの世界ではコンサル業が大人気ですが、ある意味で個人相手のコンサル業という新しい領域とも言えますよね。
ちなみに、既に多くの読者の皆さんが関心を持っているようですが、最初は副業で始めることをお勧めします。米国でも、起業する際は、副業から始める「ハイブリッド副業」が成功の確率高いと言われています。

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。