私の参院選出馬の報告に対して、幾つかの貴重なご意見を頂いたので返答させていただきます。
まずマックイーンさんから、“自民党が役人の政策をそのまま、というのは違う。むしろ石破は悪い政治主導の「何とか考えろ」という丸投げ政治だと思う”という意見を頂戴しました。
自民党のかなりダメな公約(2040年にGDP1,000兆円、2030年度に賃金100万円増)は、おそらくその典型ですよね。
ただ、大事なのは、政治発か官僚発かはともかく、結果的に自民党が役人の出来の悪い政策に頼る体質になってしまったということです。小泉、安倍、菅という私がお仕えした総理の頃はそんなことはありませんでした。
なので、私が自民党の中に入って暴れて酷い実態を暴露し、かつてのように自ら政策を考えられるよう自民党を立て直したいんです。
自民党の若手には正しい政策をやりたいと考えている政治家が結構います。でも多くの人が真面目で大人しい。だからこそ、私みたいな普通の政治家になる気がない変人が暴れて化学反応を起こしたいと思っています。
次に、たかぱぱさんから、“岸の立候補は応援するが、しかし流石に今回は他党に投票する”という意見を頂戴しました。
これと同じ意見の方、実は私の周りにも多いんですよ(笑)。そのお気持ちはよく分かります。これまでの裏金問題への対応、石破政権の物価高対策や参院選公約など、どれもかなりイマイチで、もしまだ私がサンジャポに出ていたら、おそらくかなり厳しく批判しています。
ただ、その一方で野党の側も同じくらい酷いのも事実です。例えば、野党がガソリン暫定税率廃止法案を提出して自民党が廃案にしたことで、自民党への非難轟々ですが、私は野党の法案が無責任すぎると思っています。
野党の法案は7月1日に施行(この日から暫定税率を廃止)という内容なのに、それを6月11日に国会に提出しました。法案の成立まで10日はかかるので、わずか10日で暫定税率廃止というのは行政の実務の点から不可能です。
野党もそれを分かっているのに法案をこのタイミングで出したのは、選挙向けのパフォーマンスに他なりません。真面目にやる気ならもっと早く法案を提出できたのに、国会最終盤に出す。こんな無責任はないと思います。
かつ、立憲民主党は内閣不信任決議を提出しませんでした。つまり、政権を本気で奪取する気がないのです。野党が政権を担う気概がない以上、早く経済政策をまともにするには、やはり自民党を立て直すしかないと私は思っています。じゃないと、これまで散々批判してきた自民党から私が出るはずありません。

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。