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“萩生田氏は裏金議員”という批判は正しいのか?

 公明党の連立離脱をきっかけに政治資金問題が政治の焦点となる中、自民党の幹事長代理に就任した萩生田氏は“裏金議員”と野党やメディアから呼ばれています。しかし、この呼称は名誉毀損で訴えて良いくらい酷いレッテル貼りであることに、そろそろ多くの人に気がついてほしいと思います。

 

裏金議員の定義を考えよう

 そもそも、裏金とは「公式の帳簿に記載しない、自由に使えるように不正に蓄えた金銭」(広辞苑)を意味します。つまり、主に旧安倍派の議員について問題になった政治資金が裏金と認定されるためには、

①公式の帳簿(=政治資金収支報告書)に記載されていなかった

②自由に(=政治活動以外に)使われた

という二つの条件を満たす必要があるのです。

 いわゆる“裏金議員”と呼ばれる議員の人たちの全員が、①の条件を満たしていることは間違いありません。政治資金収支報告書への不記載です。

しかし、②の条件については異なります。不記載の資金を政治活動(本来の資金の目的であり、正しい使い方)に使っていて、それを証明できる領収書などもある議員もいれば、おそらく政治活動以外の私的な用途に使い、だからこそ領収書などの証拠もなく、収支報告書の修正でも“使途不明金”と表記している議員もいます。

この当たり前の事実を踏まえれば、本来は自民党としてちゃんと調査を行ない、二つの条件を元にパーティ券収入の還付を受けた議員の実態を整理し、

①のみに該当する議員は”裏金議員”ではなく“不記載議員”であり収支報告書を正しく修正していれば問題ない、

①と②の双方に該当する議員は”裏金議員“なのだから、引き続きそれ相応のペナルティを課す

といった形で政治資金問題の原因の部分については最終決着をつけるべきなのです。疑惑のあった議員からヒアリング(短時間で済む!)し、収支報告書の修正内容を調べれば、簡単に不記載議員と裏金議員を峻別できます。

 何故かそんな当たり前のことを岸田政権と石破政権はやりませんでした。それでは政治資金疑惑を突っつかれ続けて当たり前です。逆に言えば、だからこそ、安倍派に近いと言われる高市総理がそれをやるのは意味があるのではないでしょうか。

 

萩生田氏は”裏金議員”ではなく公明の斉藤代表と同じ”不記載議員”

 そして、この簡単な調査をやればすぐ明らかになるのは、萩生田氏は”裏金議員”ではなく”不記載議員”でしかないという事実です。萩生田氏は政治活動のみに問題の資金を使っており、それを証明する領収書なども保管されていたので、収支報告書も適正に修正されています。

 ちなみに、萩生田氏は記者会見でもこの内容を詳しく説明し、時間無制限で記者からの質問にも答えました。だからこそ、自民党や政治資金問題に厳しい著名弁護士の郷原信郎先生も、「萩生田氏は全然問題ない」とのお墨付きを与えています。

 これらの事実は私が個人で調べてもすぐ明らかになるのに、それもせずに”裏金議員の萩生田氏を党幹部に登用するのはけしからん”と批判し続ける野党とマスメディアは一体なんなのでしょうか。無責任極まりないです。

 公明党の斉藤代表など、野党でも政治資金不記載が明らかになり収支報告書を修正した議員はいます。それなのに、自分たちの不記載は単純ミスで、安倍派の議員の不記載は悪意あるものだと決めつけるのはおかしいです。不記載だけでしたら“良い不記載”も“悪い不記載”もないのです。

 野党は自民党への対抗上意図的にやっている部分もあるでしょうが、マスメディアは酷すぎます。自民党がちゃんと調査しないのが悪いとはいえ、それを悪用して、自分たちで調べればすぐ分かるのにちゃんと調べもせず、また公平な報道をしないのですから。

 私は個人的に、高市総裁が任命した新たな党幹部の皆さんは有能揃いでしょうが、特に萩生田氏の能力は構想力や調整力など頭抜けていると思っています。その萩生田氏が事実誤認の名誉毀損に近い呼称で呼ばれ続け、下手して潰されでもしたら、自民党の再生は覚束ないと思っているので、萩生田氏に関するマスメディアの心ない酷い報道には心底怒りを感じています。

 

パーティ資金の還流を誰が再開させたかの解明も必要

 なお、政治資金問題については、安倍総理が止めさせたパーティ資金の還流を誰が再開させたのか、という点についても最終決着をつけるべきです。

 この点については、安倍派の資金責任者であった松本被告が裁判で一人の名前を挙げていることが明らかになりましたが、その本人は否定しています。それでも、自民党として松本被告からヒアリングするなり、その証拠となるものがあるかを調べることは出来るのではないでしょうか。

 

 

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。

 

 

 

 

 

 

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