眠らない街、東京・歌舞伎町。
華やかなネオンの裏には、誰にも話せない不思議な出来事が静かに息づいています。ホストや風俗嬢、酒屋のアルバイトなど、この街で働く人々が遭遇した“もう一人の住人”との体験談を聞きました。それは偶然なのか、消えきれない記憶の残響なのか――。

◾️ホストが聞いた“誰もいない声”
人気ホストのRさん(26)は、ある夜、ホテルで客の女性と過ごした後、暗闇の中からかすかなうめき声を聞きました。最初は寝言かと思ったものの、女性に確認すると「そんな声は聞こえない」と言われたそうです。数日後、そのホテルが過去に若い女性が殺害された場所だと知り、今でもあの声の正体はわからないと語っています。
◾️デリヘル嬢が感じた“見えない同乗者”
デリヘル嬢のAさん(24)は、年末の送迎車で奇妙な体験をしました。車がなかなか発車せず運転手に尋ねると、「もう一人の女の子も乗ると思った」と言われました。しかしAさんの目には誰もいません。彼女は一年前に同じ店の同僚が客にホテルで殺害された事件を思い出し、「あの子がまだ帰れずにいるのかもしれない」と話しています。
◾️酒屋バイトが見た“亡くなったホスト”
歌舞伎町の酒屋で働く大学生のKさん(21)は、ホストクラブへの配達中に有名なホストを見かけました。先輩に話すと、そのホストは先週亡くなったと知らされます。訃報を確認すると、本当に亡くなっており、それ以来そのビルに入れなくなったといいます。「あの日が最後の出勤だったのかもしれません」と語っています。
華やかで危うい歌舞伎町。多くの人が泣き笑い、そして消えていきます。それでもこの街が生き続けるのは、積み重なった人々の記憶があるからです。深夜の静寂にふと聞こえる“誰かの声”は、恐怖ではなく、街に刻まれた物語の一部なのかもしれません。

櫻麗
猫と紅茶があればご機嫌です
