●更新日 10/26●

優子ちゃんの親


「連絡をください。伝えなければならないことがあります。」


優子ちゃんとの連絡手段だった携帯電話。
いまや遺品となってしまったそれは、当然、家族が所有している。
着信するメッセージは、必ず両親が見ているはずだ。
そう考えて、両親へ呼びかけるメールを送り続けていた。

話さなければならないことは山ほどあった。

優子さんから預かった遺書のこと。
この事件の詳細と現在の状況。
我々が集めた証拠の数々。

そして、何より、優子さんの遺志を伝えなければならなかった。

もし、私が死んだら事件はどうなるの?
○○が許せない。このまま、無かったことになるなんて耐えられない。

しかし、両親からの返答はなかった。「探偵ファイル」への連絡もなかった。
いくら待っても。

○○教師との争いが続く中、優子さんの死から2ヶ月が過ぎた頃、「探偵ファイル」に、優子さんの携帯電話から発信されたメールが届く。

優子の父です。どういった御用でしょうか?
今は自宅にはおりませんので、こちらの電話番号に連絡をください。
「090−○○○○−○○○○」

ご両親が、優子さんの遺志を受け取ってくれれば・・・
そんな思いで、メールで指示された番号に電話をかけた。
しかし、電話に出たのは、優子さんのお父さんではなかった。


はい。○○警察署です。


(警察署?)あの。優子さんのお父さんですか?
違うよ。私は○○警察のカガっていうものです。
優子さんのことで、こちらに電話をかけるように言われたんですが。
ああ。(胡散臭そうな声)で、どんな用件で?
お父さんはそちらにいらっしゃらないんですか?
いますよ。こちらの相談にきています。・・・で、用件はなんなんです?
優子さんのお父さんとお話がしたいんです。
どんな話をするの?
もちろん、亡くなった娘さんについてのお話です。
亡くなった娘さんの、何の話をするの?
何のって・・・お話しないといけないことがたくさんあるんです。
お父さんの方は、あなた方と連絡をとりたくないって言ってるよ。
とりたくない?
携帯電話を解約しようかどうか悩んでるそうだ。で、亡くなった娘さんについて、なんの話をするの?
娘さんの亡くなった状況について、いろいろ説明しなきゃいけないんです。
そんな話をしてどうするの?
・・・そんな話、だと?
だって、もう亡くなったんだもの。しょうがないんじゃないの?
それ、お父さんが言ってるんですか?
うん。だって、亡くなったものが生き返るわけじゃないでしょ?
普通に亡くなったわけじゃないんですよ。いろいろな状況が絡んで、様々に問題を残した上で亡くなったんです。それに関してご両親と相談がしたいと思って連絡をとろうとしているんです。


とにかく、この警察官に事情をわかってもらわなければならなかった。
苛立ちをこらえながら、懸命に事情を説明する。


なるほどね。事情はわかりました。しかし、これからどうするかということは、ご両親が考えるべきことであって、あなたが口を挟む問題ではないでしょう?
だからこそ、両親と連絡がとりたいんだ、というふうに言ってるじゃないですか。お父さんに電話口に来てもらうわけにはいかないんですか?
ああ、そうですね。じゃあ、話しますか?
ええ。


実は、優子さんのご両親について、我々が知っていることが、もう一つある。優子さんと共に○○警察署へ向かった際、相談を受けてくれた○○巡査部長へ、優子さんの死を報告した時のことだった。○○巡査部長がこう話していた。


「そういえば、優子さんのお父さんがこちらにみえられましたよ。“死んだ娘がこちらに相談に来たはずだ。その時、一緒に来た男が出した資料を見せてほしい”と。こちらとしては“これは同伴された探偵さんからお預かりした資料です。探偵さんの許可無しにはお見せすることはできません。”ということで、一応、お断りしたんですが・・・」


優子さんのお父さんは、事件の真相を知りたがっているはずだった。




はい。お電話代わりました。
優子さんのお父さんですか?
はい。




〜後編へ続く





渡邉文男







優子ちゃんの死を知った夜



スタッフはみんな、酔いつぶれました。吐くまで飲みました。






泣きはらしたえりす


大声で怒鳴り散らした山木


意識を失った西原


事務所の外で暴れた大住とキム


そして



不肖、私。


BOSSだけが正気でした。

「酔ってなんかいられない……。」

一番飲んでいたのは、BOSSですが。





もう、あれから随分長い月日が経ったような気がします。



九坪



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