周囲は、日本三大野鳥の生息地。
 早朝、朝霧に包まれ、カッコウやホトトギスの美しい声が聞こえるこの土地に立つと、終戦の八月十五日、昭和天皇が詠まれた「国敗れて山河あり」の句が浮かぶ。
 私は絶景の奥に潜む、心霊ポイントを検証した。
 温泉の風呂場の軒下がなせか肌色をしている。横には木があり、カメラを構えると右の半分しか写らない。
それが風呂場の電球とはっきり区別ができて、戦国時代の武将の顔のベースをつくる。
 しかも、手前にある木の葉が眉毛と目、立派な口髭、丁髷まで作り、堂々たる武将の顔がこちらを覗き込む
・・・ということになる。
 つまり心霊写真ではなく、自然現象と人工の光が偶然に重なり合って作り上げたものだったのだ。