2023年に亡くなった八代亜紀さんが20代だった頃に撮影されたヌード写真があるようです。最初にお断りしておきたいのですが、私、風俗業界の自由競争自体は大いに容認しますものの、同意のないポルノの流出にはかなりの嫌悪感があり、今回も少しだけ、八代亜紀さんのヌードを販売しようとしている側に対しては厳し目かもしれません。
生前の八代亜紀さん(公式HPより)
さて、そのヌード写真付きのアルバムは4月21日に発売されます。いったい何が問題なのでしょうか? 結論からすると、八代亜紀さんのヌードを販売する行為も、買う行為も、そして写真を拡散する行為も「大問題」です。生前の八代さんの所属事務所「ミリオン企画」は、アルバムを販売する予定のニューセンチュリーレコードを相手に法的手続きの準備を始めているそうです。
最大の問題は、生前の八代さんが「ヌード写真とってもいいよ」と明言した確証もなければ、「販売する契約を交わしましょう」と約束した確証もないからです。たとえその画像をインターネットで見つけることができたとしても、八代さんが亡き今となっては、遺族の意思に反してそれを見ることは倫理的にダメ*。
とはいえ、実際に裁判となった場合、販売する側は「表現の自由」や「販売する自由」を主張する可能性もあります。つまり、この騒動は、八代亜紀さんの尊厳やプライバシーの保護と商業活動の自由とのせめぎ合いとも言えます。
さて、最大の論点は、それでも八代亜紀さんのヌードをみたいかどうか? ですかね。判断は「お任せします」としか言いようがありませんが、もし自分の家族や身内の死後に、故人のヌードが出回ってしまったらと思うと・・・。一瞬の好奇心が、故人や遺族の尊厳を踏みにじることになるかもしれない、そのことを忘れないで欲しいのです。
*リベンジポルノ防止法:「本人の明確な同意を得ずに撮影された画像を、第三者が勝手にネット上に広めたら罰金や懲役が科される」という厳しいルール。

女探偵 堺浄(さかい・きよら)
政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。