夜の歌舞伎町、ネオンが湿った路地に反射する中、ひっそりと佇むホストクラブがあります。改正風営法の施行後も、店内の光景は一見すると以前と変わりません。ソファにお客様並んで座り談笑するホストたち、壁に飾られた“ナンバー表”
――ただし、その多くは外からは見えない場所に隠されています。
実は、店内であってもホストのナンバーや役職を掲示する行為は今年6月に改正された風営法では違反にあたります。外部からの視認を避けて掲示するのは、その摘発を逃れるための一手なのです。
「外から見えなければ大丈夫です。」と語るのは、ある中堅ホストクラブの幹部。役職やナンバーを店内に掲示する形は、法律の目をかいくぐるためだといいます。
若手キャストの不安
改正の狙いは女性客の保護ですが、現場の若手ホストには別の問題もあります。社会で行き場を失い、この仕事を選んだ若者たちにとって、改正は生活や将来に直結しています。
別の幹部は次のように話してくださいました。
「キャストの子たちは不安を抱えています。もちろんお客様を守ることは大切です。しかし、ホストとしてこの世界にたどり着いた男の子たちの居場所も守られるべきです。」
実際、ある新人ホストは「法律は守りたいけれど、生活がかかっているので抜け道を使わざるを得ません。」と漏らしていました。現場では規制と日常の折り合いが常にせめぎ合っています。
摘発の不公平感
摘発の矛先がホストに集中していることへの不満も根強くあります。
「報道ではいつもホストばかりが取り上げられます。しかしキャバクラも同じようなことをしています。なぜ摘発されないのでしょうか。政治家たちは、自分たちの遊び場を守るためにキャバクラを潰さないのでしょうか?」と語る声もあります。
幹部の話からは、業界間での不公平感がにじみ出ます。現場では法律の抜け道を知りつつ、摘発のリスクと戦うホストたちの緊張感が漂っています。
法改正と現場の乖離
風営法改正は健全化を掲げていますが、現場とのギャップは依然として大きい状況です。規制は女性客を守ることに重点を置きますが、若手ホストの生活や将来を脅かす側面もあります。
歌舞伎町の夜に立つと、ネオンの奥で微妙なバランスの上に成り立つ現場のリアルが見えてきます。法律は、表面的な遵守だけでなく、現場で働く人々の生活や将来に目を向ける必要があります。そうでなければ、改正は単なる“見せかけ”の規制に終わってしまうでしょう。

櫻麗
猫と紅茶があればご機嫌です