
事件の舞台となったガールズバー周辺:池袋・トキワ通り
◾️池袋で起きた“GPS監視事件”が映す夜の現実
10月中旬、東京・池袋で、ガールズバーで働く女性をGPSで監視し、売春防止法違反(管理売春)の疑いで関係者が逮捕されました。女性は「身も心もボロボロになった」と訴えており、夜の街の深い闇を象徴する事件だと感じました。
この事件をきっかけに、私は池袋と歌舞伎町を歩き、現場で働く女性たちに話を聞きました。そこには、きらびやかなネオンの裏で、孤独や不安を抱えながら立つ姿がありました。
◾️「好かれなきゃ売れない」――疑似恋愛の代償
「指名を取るには、好きなふりをしないといけません」「お客さんに好かれないとお金にならないんです」―多くの女性がそう語りました。
色恋を演じる“疑似恋愛”は売上を生む一方で、心をすり減らす行為でもあります。「嘘をつくのが仕事みたいで、自分が誰なのか分からなくなる」と話す人もいました。
取材では、無届営業の店や、未成年を働かせているケースも見えてきました。年齢確認が甘く、終電を過ぎても働かされることがあるといいます。監督が行き届かず、違法営業が常態化している現実があります。
◾️「やめたくてもやめられない」夜職の現実
夜職を選ぶ理由は、ほとんどが生活のためです。「昼の給料じゃ家賃と奨学金を払えない」「親に頼れない」と語る声が多く聞かれました。
中には「安全な家に住みたいから」「美容代を削るとお客さんが離れる」と話す人もいます。やめたくてもやめられず、夜に戻ってしまう―そんな悪循環に苦しむ女性も少なくありません。
◾️ネオンの下で笑う彼女たちの不安
池袋事件では、女性が店のバックヤードで寝泊まりし、監視下で働かされていました。
ネオンの光の下で笑う彼女たちは、同時に恐怖と隣り合わせです。池袋での事件は、そんな構造が一気に表面化した出来事でした。
◾️声を上げられない彼女たちのために
池袋の逮捕劇は、夜の街に潜む構造的な問題の一端にすぎません。見過ごされがちな人権と安全を、社会全体で見つめ直す必要があります。
私はこれからも、夜の街で声を上げられない女性たちの現実を伝えていきたいと思います。

櫻麗
猫と紅茶があればご機嫌です
