一党独裁の全体主義国家「オセアニア」を描いたディストピア(暗黒郷)小説の名作『1984年』(ジョージ・オーウェル)では、快楽を求めての性交渉や恋愛を禁止しています。主人公が、同僚と禁じられた恋に落ちていくことで、国家の狂気が浮き彫りになります。
吉原の遊女たちは、恋愛を禁じられていました。遊女の仕事は、客に「惚れ込んでもらうこと」で、遊女が役者や遊び人の男性と深い関係になると重い刑罰を受けます。厳しい統制の中に置かれ、遊女にとって恋愛は「命がけのタブー」でした。
映画『恋愛裁判』(2026年1月公開 主演:齊藤京子/元・日向坂46)は、実際に起きたアイドルの「恋愛禁止契約違反」を巡る訴訟事件を描いた作品です。モデルとなった芸能事務所の専属契約には「ファンとの交際が発覚した場合は契約を解除し、損害賠償を請求できる」と規定され、さらに「男友達と写真を撮ること(プリクラ)禁止」「異性との交際は禁止」と定められていました。
■事例
・6人組アイドルグループの一員だった女性Yは、平成25年10月初旬、男性ファンから誘われてラブホテルに入った。
・男性ファンは、Yと2人でいる様子を鏡越しに撮影した。
・Yと男性ファンの画像が、別のファンを経由してグループメンバーに渡り、芸能事務所Xに知られることになった。
・Xは、6人組アイドルグループを解散した。
・XがYに対し、得られるはずだった逸失利益510万円の損害賠償を求めて提訴した。

■判決
Xの請求を一部認め、Yに対して約65万円の損害賠償を支払うよう命じました。アイドルはファンからの支持を得てチケットやグッズの売上を伸ばすビジネスモデルであり、「異性と交際しないこと」を定めた規約は合理性があるとして無効とはしませんでした。(平成27年9月18日 東京地裁)
旧ジャニーズ事務所において、結婚した男性アイドルの例があるように「恋愛禁止」というルールはなかったそうです。ただし「ファンへの配慮」が重視される職業の性質上「賢く立ち振る舞うべき(隠し通す)」とされています。アイドルは、厳しい統制を遵守できるプロフェッショナルだけに許された職業のようです。
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探偵船引
「タフでなければ生きていけない、やさしくなければ生きていく資格がない」。探偵フィリップ・マーロウを敬愛しています。
