悔しい。
でも、仕方がない。
この二つの感情が交錯する。
相談者の彼女(E子さん19才)の相談を受けたのは2週間前だ。
E子さんと、実際に犯行が行われたホテルで現場検証
最初に言っておく。
彼女にも落ち度はあった。
モデルカフェのヌードモデルの募集広告に騙されたからだ。
しかし、犯人は法の抜け道を巧みに利用した常習の強姦魔だったとしたら・・・。
犯人のモデル募集書き込み
最初に被害届けを出そうとした文京区の、○○警察署は
モデルで行ったのだから詐欺ではないか?
だとしたら強制猥褻での立件は難しい。
と、E子さんの被害届けを受理しなかった。
強姦魔の前で裸になるのが悪い。
と言わんばかりの対応だった。
私は、警察が悪いとは言わない。
立件はできても、公判の維持ができない刑事事件は避けるのが普通だからだ。
しかし、E子さんは犯人のヒロシ(HN)と何度もメールのやり取りをして、彼を信用してモデルになった。結果、脅かされて強姦され、ビデオとカメラでハメ撮りされた。
詳しく聞くと、カメラ目線を強要するなど、完全にプロの手口であった。このままでは映像が巷に流れる危険性は極めて高い。
彼女は涙ながらに訴えた。
悔しかった。騙された私が悪いんです。でも、許せない。犯人をネットで公開して次の犯罪を止めてください!
手掛かりは、書き込みとメールのみ。
困難の二文字が頭をよぎる。でも、何とかしてみよう。
同じ手口で騙される女性はごまんといる。
「騙されるほうが悪い」これが犯罪者の常套句だ。
こいつを捕まえても、今の刑法では逮捕できる可能性はゼロに近い。
自分が動いても、徒労に終わるだけかも知れない。
いつものように重い十字架を背負いながら、不安を振り払って動き出す。
「せめて、ビデオを取り返してあげよう。」
昨日、割り出した犯人のマンションにE子さんを連れて急襲した。
渡邉文男