情報提供・ご意見ご感想などはこちらまで! 記事のご感想は一通一通ありがたく読ませて頂いております。

いよいよパリ五輪! ――ウクライナ・ロシア両国の動向とテロの脅威

いよいよパリ五輪が7月26日(金)の開会式を皮切りにはじまります。オリンピック競技は7月26日(金)から8月11日(日)まで、パラリンピック競技は8月28日(水)から9月8日(日)まで、それぞれ開催される予定です。事件勃発の気配に敏感な『探偵ファイル』らしく、今日はパリ五輪におけるウクライナ・ロシア両国の動向とテロの脅威について見ていきましょう。

その前にパリ五輪の開会式について簡単に触れておきます。というのもこれまで五輪の開会式といえばもっぱら陸上競技場でしたが、パリ五輪ではセーヌ川を舞台に屋外で行われ、エッフェル塔やノートルダム大聖堂などのパリのランドマークを背景とした壮大な演出になることが話題になっているからです。報道によると、約10,500人のアスリートたちが大小様々な100隻以上のボートに乗って登場するとのこと。沿岸に80基の巨大スクリーンを設置し市民や観客は川沿いで観覧することになるようです。今から楽しみです。

本題に入ります。現在、ロシアとウクライナは戦争状態です。西側諸国はロシアのウクライナに対する一連の行為を「侵略」と捉えています。「侵略」は他国の主権を侵害し領土を不当に占拠する行為を強調する表現です。軍事行動を中立的に捉える場合は「侵攻」という表現を用います。つまり、侵略した国と侵略された国がパリ五輪の場に居合わせることになる。侵略されたウクライナの立場を慮るのは当然のことです。

具体的には、2022年2月にロシアがウクライナを侵略した際に、北京五輪(2022年)はロシアとベラルーシの五輪出場を禁止しました。このため両国の選手は個人的に(国とは別個に)中立的な立場で出場することとなりました。パリ五輪では、ロシアおよびベラルーシの選手は、

 

・軍の関係者でない

・過去にドーピング違反の処分を受けていない

・積極的に戦争を支持していない

・ロシア国旗や国歌の使用をしない

 

という要件を満たせば出場権を個人で獲得し出場できることになりました。さらに厳しい措置が必要だという世論も強い反面、スポーツマンシップに戦争は無関係だとする世論もあり意見が分かれるところです。

私は、個人であろうとなかろうとロシア・ベラルーシ両国の五輪参加を認める行為は侵略行為を容認するものに等しいと考えています。ロシアのようなメディア操作が自明の国では、個人参加を余儀なくされている理由が国民に正しく伝わる保証もありません。実際、ロシアの国営テレビ局は、自国の選手が出場する競技を中継し、あたかもロシア国家チームが参加しているかのように放送しました。ウクライナへの侵略を非難しウクライナのアスリートを支援する声明を西側諸国は出すべきです。

翻って、どうしても政治的意味合いを避けられない運命の五輪大会には厳重なテロ対策が必要です。フランス政府は10万人以上の警察官と軍を配備して周辺のセキュリティを強化するだけでなく、ソーシャルメディアの監視やインテリジェンスによる情報分析も実施しサイバー対策を強化するようです。頑張れ日本、そして、頑張れウクライナ。

 

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

タイトルとURLをコピーしました