犯人と対峙する前にE子さんを説得し東村山署に行ってもらう。被害届けを出したくない、というE子さんの意向を汲んで「相談」という形を取る。犯人がビデオを返さない場合の「保険」だ。逃亡、若しくはヤクザなどのバックが出てきた場合のことを考慮に入れる。
用意を全て整え、E子さんにメールを打ってもらった。
金子さん(本名)あなたのことは全て探偵ファイルが調べました。警察にも届け出ました。今から1時間後にあなたの部屋に行きますので、ビデオを返してください。
男からの返信はなかった。予告のようなものだから、無くてもよかった。張り込みにより、男が部屋にいることは分かっている。我々は時間通りにE子さんを連れて男の部屋のチャイムを鳴らした。
本当は目線にボカシを入れる必要もないクズ男。
男曰く、商売はしてない、の一点張りだ。
じゃあ、どうしてハメ撮りの時にラブホのテレビ画面にビデオカメラをつなげ、映りを逐一チェックしたのか?なぜ、ビデオの他にデジカメも撮っていたのか?
E子さんに「俺の○○○は気持ち良いと言え。」等と台詞を強要したのか?
我々は、E子さんのビデオの回収に来た。
それだけのために。
男は汚い部屋をせっせと探し出した。
すぐにE子さんのビデオだけが見つかった。もうひとりの被害者、I恵さんのビデオは失くしたと言う。もちろん、本人申告による5人のビデオも無い(らしい)。
追及などしない。一生、やってればいい。
我々は目的を達した時点で直ちに引き揚げた。
最後に。
この男(組織?)のために、回収したビデオ画面をアップしておく。
自分で撮った「作品」だから
顔ボカシは必要ない。
渡邉文男