アラサー女探偵のみなと蒼依です。
「知らない人について行ってはいけません」
子ども時代、誰もが言われてきたと思います。
お菓子で釣られようが巧みな嘘をつかれようが不審者をガン無視していた子ども時代の賢さはどこへやら、アラサーにもなって見知らぬ酔っぱらいについて行ってみた時のお話です。
華金を堪能した私は上機嫌で自宅マンションへ到着。
エレベーター内で開ボタンを押して待ってくれている女性がいました。
落ち着いて静かにお礼を言うと、楽しそうですね、と話しかけてきました。
ご機嫌ステップで歩いていたところを見られていたのか…。
彼女の頬は赤く染まっており、手には缶チューハイが握られていました。
酔っぱらいに絡まれたのだと理解しましたが、こちらも酔っぱらいなので同じテンションでその場しのぎの会話を続けます。
―――ポーン…○階です
扉が開いても彼女は降りようとしません。
「今からうちに来ません?」
頭の中で二人の私が対峙しましたが、好奇心旺盛な私の勝利でした。
一応様々な可能性を考え、逃げ道を確保していることを悟られないよう部屋に入ります。
家財は冷蔵庫くらいでテーブルやベッドもなく、大きな段ボールがたくさん積み上げられています。
座るところもなくてごめんなさい。実は引っ越してきたばかりなんです、と彼女は言います。
段ボールを囲んで乾杯し、身の上話を聞かせてもらいました。
30代後半の関西生まれ関西育ち。
以前は夫と小さい娘と暮らしていたそう。
乱交パーティとホストにドハマりし深夜に泥酔状態で帰宅することが増え、ついには娘の養育費にまで手を出したために離婚、親権を剥奪され引っ越してきたと言います。
「日雇いの仕事で食い繋いでいるけど、来月の家賃が払えないかもしれなくて…」と私の顔色を伺う彼女。
「…そうなんですね。とりあえず定職に就いたらどうすか?この辺ならお仕事いっぱいありますもんね!じゃ、私は明日も仕事があるのでこれで!^^」と言い捨てて帰宅しました。
探偵とは言え、プライベートの金銭トラブルは勘弁です。
先日もエントランスで酔いつぶれていた女の子を介抱し部屋まで送り届けてきました。
酔っぱらいを呼ぶマンションなのでしょうか。
見ていて面白いですが、自分がそうならないように気を付けたいですね。
*冒頭に戻りますが良い子は知らない人について行ってはいけません。
みなと蒼依
情熱と好奇心、時々執念。真実への探求が私の美学。
愛に不信を感じたら、ガルエージェンシーにご相談ください。