商品券問題の本質は個人攻撃ではない
石破首相が新人議員に一人10万円の商品券を配るという非常識をやらかし、政権の支持率が大幅に急落しました。
商品券問題については、野党は配った石破首相の行動を問題視しています。しかし、それよりも本来は、高額の贈与で組織の結束を維持するという昭和のやり方を続けていた政治の(=与野党全体の)体質の方が大問題です。この点については動画で説明していますので、ご覧いただければと思います。
ちなみに、政策批判をテキストで書くのは結構大変なので、動画チャンネルを始めました。良かったらチャンネル登録やいいねをよろしくお願いします。
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石破首相は辞任に追い込まれるか?
それでは、この問題をきっかけに石破首相の交代があり得るでしょうか。7月の参院選を見据え、政治の側では複雑な駆け引きが始まっています。
まず野党は、不信任決議を提出して石破首相を真剣に追い込む気はないようです。首相が交代したら支持率が上がってしまうので当然ですよね。
その一方で、自民党内では色々な動きが始まっています。
まず安倍派を中心とした反石破勢は、自民党の両院議員総会で過半数の賛成を得て総裁選に持ち込みたいようです。
また、非主流派の某幹部(商品券問題を拡散した人)は、石破政権を退陣に追い込みつつ、国民民主党を自公連立政権に引っ張り込もうと画策しているようです。この場合は玉木総理というのもあり得るかもしれません。
もちろん、石破首相や官邸はこれらの動きに抵抗して政権延命を目指します。“強力な物価高対策”をやると打ち出したのも、元国民民主党で労働組合に近い矢田補佐官を3月末で退任としたのも、その布石かと思います。
どちらの動きが勝つでしょうか。自公国連立政権を目指す動きには財務省も乗っているとの噂もあり、大きな流れになるかもしれませんが、私は石破政権が続く可能性の方が大きいと思います。首相を辞任に追い込むには野党の不信任決議が不可欠で、与党内の動きだけで首相を追い込むのは難しいからです。
ただ、石破政権が延命するには、やはりこれまでサボっていた物価高対策をしっかりやって支持率を回復させることが不可欠です。3月末で終わる電気代・ガス代補助の継続や米の価格の引き下げはやって当然ですが、“強力な”と銘打った以上、これだけでは全然足りません。
ガソリンの暫定税率の廃止や消費税の軽減税率の減税(2月の消費者物価上昇率は3.0%だったけど生鮮食品は28.0%と未だ高騰)など、本来は与党の側から言い出せないところまで踏み込めるかの勝負だと思います。石破首相の胆力が試されるので、4月の自民党内政局は要注意です。

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。