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●日本心霊マップ 特別対談 其の五

 
漫画家:つのだじろう 霊能者:西塔恵 探偵軍団:渡邉文男

憑依について



 
渡邉: 今回は、個人的に関心のある「憑依」についてお聞きしたいのですが、体質的に憑依されやすい人・されにくい人って、いるじゃないですか?そこで憑依全般についてお聞きしたいのですが…
つのだ: うんうん
渡邉: まず霊能者の人達なんですが…その方たちは、自分で自分の身体に霊魂を、憑依させたり出来るじゃないですか?
つのだ: うん、できるね。
渡邉: どうして出来るのかって、まずどういう風にするのか・・・とか。
西塔: どういう風にされるかって、どうするかっていうの?
そうねー、入って来て・・
つのだ: 体半分空けるわけだろ、だから。
渡邉: 体を空けるんですか?
西塔:

入って来て・・というか、要するに、霊魂に肉体の貸し方を知っているかどうかって事なのよ。

つのだ: そう身体の貸し方ね。判りやすく言うと〈自分の魂〉っていうのがあるじゃない、心・意識って云うかね。それを自分の中で体の下半身に押し詰める。上半身の意識を空家にする訳だ。例えば、自分の身体に4室の部屋があるとしたら、まずその内の2室に片付けて、そこへ「どうぞ入って来て下さい。」って呼び込むの。そういう感じね。
渡邉: その呼び込み方って、あるんですか?
西塔: 呼び込み方って、口で説明するのはむずかしいわね。
渡邉: う〜ん、「空けたから入って来て」って・・・
西塔: 空けるというか、何て言うんだろう、自分を半分、外へ出すのかな?
渡邉: それは、いつ頃からできるようになったんですか?
西塔:

もうね、子供の頃から…。こんな「お化け」を呼ぶとか、そんな風には使えないで、要するに「誰々ちゃんの彼氏は、今何やってるんだろう?」とか。
だから…どちらかと言えば、幽霊を呼ぶより、生霊を呼ぶ方をやってた。彼氏を呼んで「本当にあなたはあの子を好きなの?」って!(笑)

渡邉: じゃぁ、物心ついた頃から、自然にできちゃってたんですね?
西塔: うん、そうね。
渡邉: と言うと、3歳くらいから?
西塔: そんなことないよー!(笑)
つのだ: 霊能者って、みんなそうなんだよ。子供の頃から身に付いててね。
西塔: そう、自然になるよ。
渡邉: 自然にですか?そりゃ凄いなー。
つのだ: だから、偶然、道を通った、近所のおばさんとかを見て「あのおばあちゃんもうじき死んじゃうよ」とか言っちゃったりね。平気で判っちゃうんだよな。すると本当に後々死んじゃう。予知能力だね。そんな事が重なると「あの子変だ」とか。近所から気味悪がられて……。
渡邉: うーん、怖いなぁ。
つのだ: そういう感じで、でも本人は、それが普通だと思っているから…!
みんなが同じものを見えるものだと思っているんだよ。で、学校とか通う様になって「何か自分は変だ?」とか「周りの人には出来ないんだ」とかそういうのが解ってきて…クラスで気味悪がられてシカトされるとかね。そういうケースは、霊能力者の中には、かなり多いですよ。
渡邉: えぇ。本人しか判りませんからね。
つのだ:

だから悩んで、そのなまじ霊感を持ってるだけに、何て言うのかな、苦しんじゃうんだよな。そういう人って、霊能者に本当に多いんですよ。

渡邉: 西塔さんも、そういうの感じました?
西塔:

私の場合はね、親父がね「幽霊なんているわけがない!」っていう教育方針だったから。実は、親父は自分が見えていたくせにね。

渡邉: う〜ん。
西塔:

「いるんだったら、連れて来てみろ!」って云うの。だからさ「あぁ幽霊はいないんだなぁ〜」って育っていくわけよ。でも、だったら「今見えているのは、何なの・・・?」って事になる。

渡邉:

じゃあ、親父さんに「あれは何?」って指摘したんですね?実際に見えてるものを?

西塔:

親父が亡くなる間際にね、「実は・・」って。親父が若い頃に、霊魂の事を母親に言ったら、ものすごく言われたらしいんですよ。「あそこの家の人が死ぬ」って言った時に、「そんな事、言うもんじゃない!」って。昔だから「狐憑き」って言われて…大変なことになったって。

渡邉: うーん。
西塔:

そんな「死ぬ」なんて事が事前に解ったからってね、社会で生きていく上で良いものではないと・・。霊魂が見えて、話が出来たって…皆に怖がられるだけで、決して楽しいお友達じゃないわけでしょ?
だから、そういうのを一切表に出さないように生きてきて…「自分はこれで良かった」ってことでしょ。…だから、娘にもそういう教育をしたの。亡くなる時にね「実は、自分はそういうの判ってて、お兄さんが帰って来るのが、家に居ながらにして、通りを歩いてる姿が判った」って。私も、子供の頃。そう だった。

渡邉: えっ?お兄さんって、霊とかじゃなくて生きてるお兄さん?
西塔: そうそう、父がまだ若い頃ね。
渡邉: じゃあ、それは超能力・・・?
つのだ:

う〜ん。能力の分類って、してもあまり意味無いんだけど…。結局さ。予知能力と云うか…犬は4,5km離れた先で飼い主が帰って来るのが判るっていう。

渡邉: そうです、うちのコロもそうでした。
西塔:

だから、普通の人よりちょっとそういう部分が秀でてるってだけのことなの。超聴覚というのは、科学的に立証されているわけでしょ?
犬笛が聴こえるとかね。

つのだ: うん、まぁそういうことだよね。
西塔:

超能力も皆が感じることができても、じゃあそれをどうやって使うことが出来るかっていうのが難しくなるの。…それに、幽霊って凄く嘘つきなんですよ。例えば、霊魂が見えたとして「ここに女の人の霊が見えます」って云ったとしても、じゃあ「その本体は何か?」って探れなかったら、仕事はできない。実は、狸であったり…とかね。

渡邉: うーん、霊が嘘つきかぁ・・
西塔:

だから、見せられてるもの・見えてるものに対して騙されない?
物体で言うと、綺麗なお姉さんなんだけど、本当は男だったとか・・・。

渡邉:

じゃあ、憑依する時に、自分の体を貸す時にですね、ちゃんと見極めて貸すわけですね?

西塔: うーん・・でも、騙される時もある。「あ〜、失敗したぁ〜」って。
渡邉: あるんですか? 何に入られたことがあるんですか?
西塔:

そう云う場合は、入った霊魂に訊くかな。うん、霊魂を問い詰めて「あなたは本当じゃないね?」って。

つのだ:

その辺の話しだけど、俺なんかは、霊魂を自分の肉体に入れられる様になったのは、そもそも恵ちゃんから教わったんだよな。

西塔: 誰でもできるんですよ、私のやり方でやれば。
渡邉: 誰でもですか?
西塔: そうそう。
つのだ:

俺が初めて、身体を空けて、霊魂を入れた時っていうのは、それはもう実に気持ちの悪いものだったよ。

西塔: 肉体に異物が入るんですから。
つのだ:

俺の場合は、いくら実験だからって、変な憑依霊みたいなのに入り込まれちゃかなわないから、「僕の周囲に守護霊がいらっしゃるのなら、どうぞ入って下さい。」っていう感じでお願いしたんだよね。でもホントに、表現出来ないほど、気持ち悪かった。あの体感は、いまでも生々しく記憶しているからね。
首の後ろ、うなじ辺りから背骨に沿って、軟らかめで芯のあるゴムの棒みたいのを、徐々に突っ込まれる感じ。腰骨のところまで“ズズズッ”てね。

渡邉:

入って来てから「出てって下さい」と言っても、そのまま残ろうとする場合もあるんですか?

西塔:

ある。だから、そういう時は無理やり、肉体のエネルギーを使って動かすの。それができないなら、最初から止めた方がいい。

渡邉: 肉体を持たない霊魂が、肉体を持つとどうなるんですか?
西塔: 凄く喜ぶ人もいれば、逆に嫌がる人がいるのね。
つのだ:

僕ら程度の能力では、口を貸して、話すところまでいかないから…。
「間接交霊」っていうやり方があって、身体の中の霊魂に対して質問する時に「
YESNO」で質問するんだ。ただ、首の振り方を教えて、答えさせるんだ。昔死んだ霊魂は、肉体を使わなくなって、長い時間が経っているから、肉体の使い方を忘れてしまっていて、体を動かせないからね。
だから、首の動かし方から教えるんだ。するとさ、勝手に首が動くんだよ!これが凄く気持ち悪いんだ!

渡邉: それは、脳の中に入って来るんですか?
つのだ: 脳じゃないんだね。
西塔: 身体全体なのよ。幽霊の形でそのまま“スゥー”って入って来る感じ。
感情なのよね。
その塊が“ドォーン”って入って来て、それに対して反応してるのよ。
渡邉: 脳じゃなくて、身体全体で・・
つのだ:

そういう感覚ってのは、今の生理学的な理屈を並べても、説明し難いんだよな。実際、難しい学術用語を並べ立てて、もっともらしい事云ってる学者の説だってあくまでも仮説で、なんにも判ってないんだよ。自分に理解出来る理屈を並べて自分を納得させようとしるだけで、本当は体感しなきゃ何も判る筈ないんだよ。
それに俺の場合、こういう霊的な仕事やってるとガードが相当ないと、潰されちゃうから「守護してくれる霊体が何体いるのか?」お聞きしたんだ。

渡邉:

そう言えば、最初に先生とお会いした時に、守護霊がたくさんいるんじゃないかと思いました。

西塔: そうかもね!(笑)





 

つのだ:

以前「僕に守護霊が何人いるのか、首を縦に振って回数で教えてくれ」ってやったらね、14回目で“ピタッ”と止まったんだよ。「うわぁ!すげ〜14人もいるんだ!」って思ったね。

渡邉: 憑依について再度お聞きしますが・・
つのだ:

憑依されやすい人ってのは、心に隙がある人なんだ。例えば、失恋してズタズタになってるとか、身体がもの凄く疲れているとか、或いは道に迷ってるとか。

西塔: 自分の考えで、物事を決められない人とかもね。
つのだ: そういう「心の隙」に入って来るって言ったら判り易いかな。
だから、
BOSSみたいに、元気一杯で前向きにバンバン活躍してる人ってのは憑依されるなんて事は、あんまりないんだよ。
渡邉: そういうもんなんですか?
西塔: そうそう、幽霊だって命令聞いてくれなきゃ、つまらないからねー。
渡邉:

僕、この間、西塔さんに「子供が憑いてる」って言われましたけどそれは憑依ではないんですか?

西塔:

意味が違いますね。憑依ってのは身体に憑いちゃう。ひどい場合は、自分が無くなっちゃうからね。

渡邉: 憑いてる中でも、「この肉体に入りたい」っていう意思はあるんですか?
西塔: それは、霊体によっても違いますよね。
渡邉: 西塔さんが入れる霊っていうのは、入り込もうとする霊なんですか?
西塔:

そうですね。いろいろありますよ。でもね。もしかして、肉体を貸したら出てってくれないかもな?…って霊魂は、勘弁して欲しいですね。だから、こちら側で選んで入れる…っていうケースもあるし。

つのだ:

最も困るのは「自分は憑依されている」って思い込んでる奴・勘違いして決めつけている奴。霊障ってのの大部分はそれでね。それが9割なんだ。
自分の「人間としてのダメさ」を霊魂のせいにして、責任転嫁してる奴がほとんどでさ。本当に憑依されている人っていうのは、多く見積もって10人に1人いるかいないかだよ。

西塔:

そうね。「自分は憑依されてる」って望んでいる人が10人中9人かな。相談受ける時だって、最初から「○○が憑いてる」って決め付けてる人がいるんだけど、実際見てみると全然違う。それ自体が「本体」だったりもするから、その時は「あなたは偽者だ」って言うこともあるし…。自分の頑張りが足りないのを、霊魂のせいにしている人もいるからね。

渡邉:

そうかー、自分のイマジネーションで見ようと思えば、いくらでも見れますからね〜。

つのだ: 幻想の憑依現象を創り上げちゃうんだよ、自分の心の中でさ。
西塔:

人間の怖いところってのは、例えば「もののけ・動物霊」ってあるじゃない?その種の〈神様〉って、長い間の人間の思念が創り上げてるのね。物体のないものでも、人間の思念によって、そういうエネルギー体が出来上がっちゃうのよ。

渡邉: みんなの思念ですね?
つのだ: 言わば「思念の集合体」みたいなものだな。
西塔: それを見極めるのに、物凄く悩むときがある。
渡邉: あぁ、本当の霊魂と人が創り上げたものと2つがあるってことですね。
西塔:

そう。それと、憑いてる人も変わっちゃうんですよ。
一生じゃないから、人の成長と共に変わるんですよ。人間としてレベルアップするとね。

渡邉: じゃあ、悪い奴には、どんどん悪いのが憑いちゃうんだ!
西塔:

そう。だから、排他的に考えるとか、マイナス思考の人は良くないよね。

渡邉: 僕は、ずっとプラス思考ですから!(笑)

今日は、ありがとうございました。



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