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インチキ恋人紹介所のカラクリ  ファイナル

彼女は怪訝な表情を浮かべ
「どの仕事だったかしら…」
と、首を傾げた。
「確か半年前にオーディション用に撮ったものです」
彼女が思い出すと、私は笑顔を崩さず質問を続けた。
「この画像が恋人紹介所で使われていることをご存じないですか?」
「え!?そんなところで私の写真が使われていたんですか…」
彼女は、本当に驚いているようだった。
画像を無断で使用された上に、その報酬も得ていなかった。
私はプロダクションに騙されていた彼女に同情し、良い仕事があったら連絡するから、と伝えて帰ってもらった。
今度は恋人紹介所を徹底的に洗う必要がある。
手始めに独身探偵4人がおとりになって、資料請求をさせてみた。
そのうちの2人に例の彼女のプロフィールと画像が送られてきた。
問題の恋人紹介所は新宿に近いマンションの一室にあった。会社が出したゴミを調べて会員名簿の一部を発見。備考欄に会員の特徴が。
「カス」「しつこい」「バカ」と、会員が見たら腹が立つようなことが書かれている。
その名簿から十数人の会員と接触したが、半数は騙されたと言い、残りの会員は泣き寝入りを決め込んでいた。
この会社は男性誌4、女性向けのエロ雑誌1に広告を出して会員を集めていた。
女性誌の広告がなければ完全に犯罪行為である。
さらに調査の結果、年間の入会者数は約400人。過去3年で1億5000千万の売り上げがあったことが判明した。
私は依頼者や他の男性会員に会社を訴えるかどうか打診してみた。3人が乗ってきたので、私の顧問弁護士に紹介、賠償金を請求することになった。

「これでやっと気持ちがすっきりしましたよ」
依頼者は、晴々とした顔で笑っていた。


BOZZ

 

 

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