先週出品した藤次郎久国の名刀、記事をアップして2時間の間に4名様から落札があり、あわてて出張先から売約済みの告知をさせて頂きました。
国宝と重文しか残ってない鍛冶ですので非常に価値はあります。お断りしたみなさん、申し訳ありませんでした。時間による先着で決めたのではなく、ご応募のメールで「この人が持つのにふさわしい」と感じた人にお譲りしました。
さて、お譲りしようかなと思っている短刀がもうひとつあります。
この品も非常に珍しいものです。
長船の刀匠集団の中でも有名刀工、裕定家です。
時代は信長、秀吉の覇権争いの真っただ中で、長船刀の需要はピークになります。
この短刀は銀無垢はばきで黒色鞘に収まったお姫様の守り刀です。
美しいでしょう。そして、気がつかれましたか?
両刃です。
乱れ刃文に銀粒のような錵(にえ)が散らばった刀身です。
まるで、ヨーロッパの剣。『日本刀 両刃』で検索してもこの時代物は出てこないと思います。
※「刃文(はもん)」とは、日本刀の「焼き入れ」という熱処理によって生まれる、刃先寄りの白く見える波のような模様のことです。これは刀の硬度を高める作業と同時に、刀工の個性が表現される重要な美術的要素です。
ちなみに、両刃は「確実に止めを指す」という意味が込められ、お殿様がお姫様を愛していてこその型であったであろうと推します。
永正八年二月。制作日が刻印されるのも珍しい。ご婚礼だったのでしょうか。
お姫様ご本人は刀を分解することは無かったので気付いていないと思いますが(笑)
本当に美しい、ため息の出る名刀です。
500年以上経った今もこの輝きを保っているのはキセキです。
この刀を60万円(税込み66万円)でお譲りします。
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10/20 完売いたしました。ありがとうございます。
申し訳ありません。たくさんの方からご希望がありました。
公平を期すためアミダくじで決めます。
橘さんに決まりました。
古物商 渡邉文男
500年前のお姫様 ~当選者発表
