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セクハラバトルロイヤル忘年会!

女性保険外交員7名が管理職3名を提訴!

後に裁判沙汰となったセクハラバトルロイヤル。舞台は広島の生命保険相互会社の忘年会です。まずは、何があったのか見てみましょう。(順番は判決文通りです。)

原告 A、B、C、D、E、F、G

被告 L、M、N、生命保険会社

(1)原告C(53)

LはCの背後から腰に両足を巻き付け(カニばさみ)、腋の下から両手を回して抱きつき、Nも正面から腰を両足で挟み、サンドイッチの状態にした。またMはCに抱きついたところ、拒絶されたため、右足でCの左脚太股を蹴り上げた。

(2)原告F(46)

Lは、Fの背後から脇腹を掴んで握りしめ、正面に回って脇腹を両手で掴んで押し倒し、その顔を舐めた。

(3)原告D(41)

Lは自身の左腕をDの顎の下、胸の上付近を目がけて打ち付け、その場に転倒させた。

(4)原告A(41)

Lは、Aの背後から羽交い締めにするように抱き込み、カニばさみした。MはAの両脚を広げて抱き込み、股間に自己の陰部付近を数回押しつけた。

(5)原告G(36)

Lは後方から首を両脚で挟み、後に倒した。

(6)原告B(46)

LはBの後方から足下に滑り込んでよろめかせ、カニばさみし、逃げようとするBの足首を掴んで自分の方へ引き寄せて、さらに腰に両脚を巻き付けて引き倒した。

(7)原告E(28)

LはEの背後から肩に両手を回して抱きつき、その状況を撮影させようとし、Eがこれを拒否すると、カメラから顔を背けようとしたその顔を力ずくでカメラに向かせ、写真を撮らせた。

 

原告7名は、被告らの行為により頭痛、不眠、不安等の精神症状を呈するようになった。また、被告会社はLらの行為について使用者責任を負うものであると主張した。慰謝料、逸失利益、治療費、カウンセリング料等として7名合計で約6,500万円を請求した。

■判決主文

1.被告らは、各自、Aに220万円、Bに70万円、Cに132万円、Dに70万円、Eに70万円、Fに220万円、Gに70万円の金員を支払え。(後略)

(平成19年3月13日 広島地裁)

 

この判決では、「被害者は嬌声を挙げて騒ぎ立て、被害者2名が、Lを床に押し倒し、上に乗りかかる行為もあった。このような態度がセクハラ行為を煽る結果となった。被害者に落ち度があったといえるから、過失相殺の法理を類推適用し、2割の限度で損害を減じる」とされました。

落ち度があったので2割引きとするとされていますが、しかし、落ち度でしょうか? 宴会の雰囲気を壊してはならないという思いや、大はしゃぎすることが暗黙の任務になってはいなかったのでしょうか?

山本七平の著書『「空気」の研究』(文藝春秋/1977年)によりますと、外国では罰則や義務やルールが人々を統制しているが、日本社会を支配しているのは法律や条令ではなく場の空気であるとされています。日本を戦争に駆り立てたのも空気です。空気とは絶対的に権力を持った妖怪かもしれないとしています。しかし、空気を読まないと村八分になることもありますし、第一、空気を読むのは日本の美徳です。被害者に落ち度があったと断じることには若干の疑問も感じます。

ところで、判決主文に「被告ら」という言葉があります。裁判の支払い命令は、被告に資力がないなどの理由で支払われないことがありますが、会社なら支払い能力については大丈夫と思われます。現実の訴訟にはならなくても、セクハラオヤジをやっつけるカードとして、会社に使用者責任があることを認識しておくだけでも心強いかと思います。

 

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探偵船引
「タフでなければ生きていけない、やさしくなければ生きていく資格がない」。探偵フィリップ・マーロウを敬愛しています。

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