
マッチングアプリでの出会いが一般化する一方で、その仕組みを利用した新たな手口が問題になっています。
それは、アプリ上で自然な出会いを装いながら、最終的に特定の飲食店へ誘導し、高額請求につなげるというものです。
都内に住む20代男性は、当時の状況をこう振り返ります。
「普通にご飯でも行きませんかって感じで、軽いノリでした。特に怪しいとは思わなかったです」
マッチングアプリで知り合った女性とは、メッセージのやり取りも自然で、初回の食事も一般的な飲食店でした。
「話も普通で、仕事の話とか趣味の話とかして、よくあるデートって感じでした」
しかし、その帰り際に状況が変わります。
「“もう少し飲みませんか”って言われて、別の店に行く流れになりました」
案内されたのは、個室系の飲食店でした。
「最初は普通の居酒屋っぽいと思ったんですけど、入ってからメニューが全然違っていて」
ドリンクやフードの価格が高く、席に着いた後も追加注文を促される形になったといいます。
「断りづらい雰囲気で、気づいたら結構な金額になっていました」
その後、やり取りを振り返ると、不自然な点があったと男性は話します。
「最初に会った人とは別の人が途中から出てきて、“ここおすすめなんで”って自然に誘導されたんです」
実際には、マッチングアプリ上のやり取り担当、初回の接触役、そして店舗へ誘導する役割が分かれていた可能性があります。
つまり、出会いから店への誘導までが一連の流れとして設計されていた形です。
このようなケースでは、恋愛関係や個人のナンパとは異なり、複数人による分業的な動きが確認されることがあります。
「普通のデートだと思っていたので、仕組まれていたと気づいたのは後からでした」
重要なのは、最初から“店に連れて行くこと”が目的化している点です。
マッチングアプリ上ではあくまで自然な出会いを装いながら、信頼関係を築いたうえで誘導が行われます。
そのため、利用者側は恋愛の延長線上にいると錯覚しやすく、途中で不自然さに気づきにくい構造になっています。
「普通の出会いと区別がつかなかったです。むしろ自然すぎました」
こうした手口は、個人によるものではなく、役割分担された“仕組み”として動いている点に特徴があります。
出会い系サービスやマッチングアプリの普及に伴い、出会いの形が多様化する一方で、その裏側では目的がすり替えられたケースも存在しています。
恋愛の延長に見せかけた導線が、どこまで本来の出会いと区別できるのか。
その線引きは、ますます曖昧になりつつあります。

櫻麗
猫と紅茶があればご機嫌です
