とうとう……フェラーリを燃やせるかもしれない。
BOSSが「賭けに勝ったら」という条件を出してきた為、コンパス日高も連れてきた。
彼はBOSSに、
「暴露された恨みを晴らす為、ぜひともやらせて欲しい」…なんて言っていたけど、僕達には、恨みなんかよりも彼が「ポルシェ」に乗っていることの方が重要だ。
だって、どっちか燃やせるんだよ。
こんな素晴らしいシチュエーションは、探したって出てこない。
まさに鴨ネギ。
僕は、そんな壮絶な闘いを彩る為に二つの対決を用意した。
第1ラウンド
車に関わることなので…
レーシングゲーム対決!
公平さを出すために、最新のゲーム機「X-BOX」と出たばっかりの「プロジェクトゴッサム」
ただ早く走るだけでは無く、テクニックの美しさを追求したレースゲームだ。
最新のハードと最新のゲームが、2人の戦いを熱く演出する。
両方とも出たばっかりなので、負けても、「前にやったこと有るでしょ!」…なんていう言い訳はできない。
しかも専用ハンドル付き。
おじさん2人が専用ハンドル持って、真面目にゲーム…。
実にシュールな光景である。
「このハンドル、良いよ! 実車のフェラーリモデナ改とそっくりだよ!!」
…とはBOSSの談。
無邪気にゲームを楽しむBOSSに比べ、コンパス日高は真剣だ。
「おりゃぁ!!」
ドリフトを決める度に発する叫び声。
「はぉ!!」
…自分の愛車が賭かってるから、熱くなるのも解るんだけど……
…5分後
BOSS 3-0 コンパス日高
気合空回り。コンパス日高敗退
なんとも呆けた表情だ。半笑いなところが、寂しさを誘う。
だが、まだ大丈夫だ。次の対決で勝てば引き分けだぞ!頑張れ!!
第2ラウンド
ゲームだとやっぱ、臨場感に欠けるし、得手不得手が出てしまうだろう。
せっかく、フェラーリとポルシェなんていうスポーツカーの横綱を賭けてるんだから
実際に首都高バトル!!
「高樹町~台場」の勝負だ。これはゲームと違って、純粋に腕の差が出る為、恨みっこ無しの勝負だ。
「実車なら負けません!」
生き生きとした表情で話して、料金所をくぐっていったのだが…
いきなり渋滞
だが、そんなことは構わずに車線変更を繰り返し、前に進んで行くポルシェである。
ここぞとばかりに無理矢理割り込むポルシェ。
トラックのクラクションなんぞ、今の彼には聞こえやしない。
勝利への執念か暴露されたことへの恨みなのか解らないが、着実にフェラーリとの距離は開いていく…!
このまま行けば、ポルシェが勝って引き分けになる……
……そう思った瞬間!
浜崎橋で渋滞が切れた。
あっという間に抜かれるポルシェ。
さすが425馬力… 直線じゃ敵いっこないのね…。
「ヒシアマゾン」も「エアグルーヴ」も真っ青な追い込みである。
ポルシェ炎上・・・決定か!?
諦めちゃダメだぞ! コンパス日高!!
まだ、カーブで追い抜くチャンスが有るはずだ!
諦めたら、試合終了なんだぞ!!
続く! 次回!!