「生活保護は、本当に必要な人を救うための制度です。しかし、その制度を利用して利益を得ようとする人たちがいることも、現場では見てきました」
そう語るのは、自治体で生活保護受給者の支援に携わってきた元ケースワーカーの男性です。

ケースワーカーとは、生活保護を申請した人の生活状況を確認し、必要な支援につなげる仕事です。男性はこれまで、さまざまな事情を抱えた受給者と向き合ってきました。
「病気や障害、家族との問題、突然の失業など、誰でも生活が崩れる可能性があります。明日は自分が相談する側になるかもしれない。そういう制度です」
一方で、男性が問題視していたのが、生活保護を必要としている人に近づき、利益を得ようとする存在でした。
「住む場所がない人や、頼れる家族がいない人は非常に弱い立場です。そこに『全部面倒を見る』と言って近づく人がいます」
男性によると、中には住居の提供や生活支援をうたいながら、本人にとって不利益な契約を結ばせるケースもあるといいます。
「本人は選択肢がないと思っています。今日寝る場所がない、明日の食事がない。そんな状況では、提示された条件を疑う余裕がありません」
男性は民間支援そのものを否定しているわけではありません。
「行政だけでは手が届かない部分もあります。良心的な支援団体や不動産業者のおかげで救われる人もいます」
問題なのは、支援を装って困窮者を囲い込む行為だといいます。
「生活保護を受ける人は、お金が欲しいから申請するわけではありません。生きるために必要だから利用するんです。その弱った状態につけ込むことが許されてはいけない」
現在、生活保護制度についてはさまざまな議論があります。生活保護は、人生の再スタートを支える最後のセーフティーネットです。その制度を守るためにも、必要な人を助ける仕組みと、弱者につけ込む仕組みを見分ける目が、社会には求められています。

櫻麗
猫と紅茶があればご機嫌です
