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山田五郎さんの本当の凄さ

 山田五郎さんが亡くなられました。仕事で何度かご一緒させていただき、その博識さと温かいお人柄に惚れ込んだ者として本当に悲しいし残念ですが、同じく癌を患っている者としてつい思いを馳せてしまうのは、闘病生活はすごく大変だったはずなのに治療と仕事を最後まで両立させた精神力の凄さです。

 生前の森永卓郎さんが私に「俺は短距離走、お前は長距離走」と言っていたように、山田さんの治療は森永さんと同じ短期集中型だったのに対し、私の治療はそこまで緊急性はないので、単純な比較はできません。
 それでも、私の場合は治療を始めて3年が経ち、今は月一回の抗がん剤2種類投与と毎日10種類くらいの薬の服用を続けていますが、体力がかなり落ちてすごく疲れやすくなったのを実感しています。
 以前は体力自慢だった私が、今は朝から仕事だと夕方にはぐったりしてしまいます。講演やテレビ出演といった人前で話す仕事は、極度の集中力が必要ですごく疲れるため、病気前は一日に2つ3つこなせたのが、今は一日に一つしかできません。長距離の移動でもすごく疲れてしまいます。
 なぜここまで疲れやすくなってしまったのかというと、病気自体のダメージ、薬の副作用(毎日飲む薬には劇薬に分類されるものもある)、加齢による体力低下といった要因が複合的に影響しているのでしょう。
 もちろん、治療のおかげで多発性骨髄腫の状態を示す血液の数値は改善し、顔色が良くなったと言われますが、体の中はボロボロで無理できないなあと諦めています。頻繁に目眩はするし、関節の痛みは酷いし、手足の色んなところがすぐつるので、いつの間にか皇居のランニングもウォーキングになってしまいました。
 特にきついのは、睡眠がすごく浅くなってしまったことです。歳とると当たり前ではありますが、薬に含まれているステロイド成分も睡眠を浅くするようで、睡眠薬を飲んでも2時間したら目が覚めてしまいます。

 治療が長距離走の私でさえこれ位の思いをしているのですから、短距離走だった山田五郎さんはその何倍も辛い体力の落ち・痛みと戦っていたはずです。それなのに亡くなる直前まで質の高い仕事を続けたその精神力には、感服するしかありません。
 今は高齢になると二人に一人は癌を患う時代ですが、実体験から、高齢で重病を患うとマジでしんどいです。そんな中、山田五郎さんは、高齢になって重病を患った際の精神力の重要性、そして最後はどう生きるべきかというお手本を示してくれたと私は思っています。私も五郎さんに負けないようもっと頑張らないと。。。

 

 

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。

 

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