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ああ大阪拘置所 ~暴力するは我にあり

囚人に暴行を加える事は?
刑務官は中身があって無いような人間が多いんです。どっちかというと「武道先行型」で柔道や剣道ができるからこの仕事に就けたという奴が多い。喧嘩っ早いんです。未決囚は裁判の判決が確定していないやつらだから割とえらそうにする。「これは自分の権利だ」と、やたらに権利を主張する。また、ヤクザっぽい奴は、ちょっかいをだしてくる。喧嘩をうってきたり、メンチきってきたり。そのなかで刑務官はそれに耐えるんだけど、やはり人なんで、時としてたまりかねる時がある。「いつでも勝負してやる」と言ってるような奴には、そいつの部屋に入り込み、外から見えないように、窓に服を引っ掛けて、怪我をさせないように、ばれないように、手をだす。それはよくありました。ただし、これは独居での話。雑居では出来ない。

どんな手のだし方ですか?
投げる、絞める、上腕部をどついたり、蹴ったり。相手はヤクザ系の奴が多いからあまり訴えてこない。面子があるから。

暴行を受けるのはヤクザが多いのですか?
ヤクザ系が多い、100%じゃないけど、堅気でもヤクザっぽい奴とか。

刑務官が怪我する事は?
あります。目に青痰つくったり。ただ、刑務官が不利になったら、非常ベルという手がある。非常ベルを押したら全員集まってくるから。刑務官は逃げる事できません。でも、相手が強く、どうしようもできないこともある。相手がヤクザみたいな奴だとか。そうなってくると、応援を求める。呼ばれた者は事情は知らんが皆で加勢する。囚人のほうはその後保護房へ放り込まれたり、はたまた、絞めすぎて気絶した奴とかもいた。

暴行後問題にはならないのですか?
あくまで本人の申告。こういうのは誰も見てなかったら申告があろうが、刑務所側のほうが有利。ただ、最近、名古屋の保護房の中で一人死んでる。これは事実なので、行き過ぎた行為であるのは事実。とはいえどこでも同じ事をしている。保護房の中では皮手錠をつけさせるんだけど、皮手錠はベルトみたいに穴の場所が決まってる。大きさは大・中・小があって、相手の体格に応じて選ぶ。背の高さとかで判断するから、実際つけたときは細い奴もいれば太い奴もいる。穴を緩めると抜けてしまうから、目いっぱい次の穴まで絞め上げる。絞めすぎたベルト状態。この状態は圧迫されて、死ぬ事もある。現に名古屋の保護房で死んだ奴はそういう状態で死んだんだと思う。拘置所では皮手錠を滅多に使わないんだけど、刑務所ではよく使うみたいだ。

なぜ皮手錠を使うのですか?
金属手錠は怪我をしやすいから。

保護房に入れる理由は?
公の理由では「言う事をきかない者」「暴れる、まさに暴行を加えようとしている者」「自殺しようとしている者」「大声を発して止めない者」色々な要件がある。要件が合う場合は保護房に収容していいという規定がある。また、そのまま入れていると、何か危害がある可能性が高い場合は皮手錠を併用して良いという規定がある。

 


大阪拘置所の塀


刑務官から喧嘩をうることは?
刑務官は100%我慢してます。相手がしつこ過ぎるんです。ストーカー的に狙ってくる。職員全員を狙うんじゃなく、個人を狙ってくる。それもくだらない事で。例えば、「風邪気味だから薬をくれ」と、願い出て、それをすぐに貰えなかったとかくだらない理由で。

受刑者から見た刑務官は?
受刑者側の立場では、刑務官の存在は、そこの舎房の正担当が「おやっさん」というふうに呼ばれ、神様になる。俗に言うヤクザの世界ですね。その他の呼び名は「担当さん」「先生」ぐらいかな。刑務所の場合は、悪さすると即自分の出所に繋がる事なんで。「そのぐらい構わない」と思ってる奴もいれば、気にする奴もいます。もっとも、担当に媚びへつらう奴は絶対に裏で、その担当に殴られたり、いじめられてます。
私も不良行為(大声出して喧嘩したとか、何処かでタバコ吸ったとか)を見つけた場合、情けで、選ばせます。「懲罰受けるか、ここで一発殴られるか?」とね。本人が「一発で済ます」と言えば、人に見られないように、個人的制裁をくらわしてお終いにするんです。そうすると自分との関係ができる。いわば「ファミリー」になってしまうんですよね。公平でありながら、一つのファミリー単位での集団。刑務所はそういうかんじです。後、受刑者は犬みたいなもんです。自分の御主人さん(担当)は大事にして、新しい担当がきたら、もう言う事をきかない。これはもう悪い習慣ですよね。日本の拘置所・刑務所はいまだにコレが続いてると思います。

受刑者の新入りに対するいじめは?
受刑者は意外に外で繋がってるんよ。少年院で一緒だったとか。ある組で一緒だったとか。そういうのは私たちにはわからない事なんですが、けっこうどこかで繋がりがある事が多いんです。だから、虐めとかは意外に少ない。

鉄拳制裁が後々問題になる事は?
問題にならないようにします。拘置所側で握り潰す。拘置所内部は皆知ってる。握り潰してるのは、担当、その上司。もっとも、上司も知らない事もある。ただ、保護房に入った場合は握り潰せなくて、裁判沙汰になる事もある。保護房に入れないための鉄拳制裁だね。未決囚に対しては数少ないが、受刑者に対しては毎日鉄拳してますよ。もう手で殴るのが痛いから、靴で向こう脛蹴ってる。そしたら、受刑者も賢いものだから「その怪我どうした?」と聞いても「階段で滑って、向こう脛打ちました」と。

言わないんですね?
自分が助けてもらってると思うから。でないと、本人が悪さした事が見つかれば、懲罰をくらって出所できないし、面会も出来ない、手紙を出すこともできない。

相手が悪さした場合だけ制裁するのですか?
そりゃそうです。何も無いのにやりません。

向こうがメンチきっただけとかでの制裁はありますか?
それは未決にはあるが、既決には無い。

願箋ってなんですか?
願箋という収容者が願い出をする為の紙がある。「自分は最近風邪気味だから、風邪薬を支給してほしい」とかね。ところが、その処理にも刑務官の意思が入る。好きな奴、嫌いな奴、どうでもいい奴、それによってその処理が全然違う。刑務官はどうしても人を差別してしまうから。「あいつは気のいい奴だし、俺の言う事をよく聞くから、あいつの願い出なら、早くしてやろうか」とか。「こいつは嫌いだ。俺を見たら、変な事ばっか言ってくる。こいつの願い出は、ちょっと遅らしてやろう」とか。

刑務官の立場を守るための制裁というのは?
私の場合、新人の頃、ある事件がありまして。新人だったんですが、先輩の刑務官がすごくかわいがってくれたんです。ちやほやしてくれたんですよ。それで、その先輩が「だれか気に入らない囚人はいるか?」と、聞いてくるんです。で「あいつ最初っからずっと俺の事睨んでくるんですよ」と言ったら、「よしわかった」って。夜中の2時に、その囚人を起こして、風呂場に連れて行って、正座させて、ヤキを入れてくれたんです。似たような経験は違うとこでもしました。ある舎房の正担当が「おまえに威圧をかけてくるような奴が居れば、言ってこい」と。ようするに「おまえの気に入らん奴いたら言ってこい」と。そしたら、次の日になったら解決してるんですよ。向こうから頭下げてくる。昔から、気に入らない囚人を引っ張り出して、刑務官としての立場を保とうという行為は多々あったんですよ。

逆に刑務官の立場を貶める行為というのは?
中にはアホな職員もいるんですよ。囚人とすっかり仲良くなってしまって、鍵あけて本人の横で寝そべってる奴もいるんですよ。「眠たい」って。精神的に食われてしまってるんですよね、ヤクザに。

 


次号、ヤクザと刑務官の関係を聞き込む。

 


ー BOSS ー

 

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