安倍晋三元首相が銃撃されて以来、統一教会が各所で話題になっている。勧誘や献金に関する情報も目立つが、そうした活動は今に始まったことではない。
このたび東京大学の学生新聞『東京大学新聞』は、同大に存在するもう一つの学生新聞『東大新報』とは無関係であるとの声明をサイトに掲載した。『東大新報』は統一教会と歩調を合わせる組織であるというのだ。
『東大新報』のサイトは更新が途絶えて久しいが、バックナンバーの目次には「純潔」といった統一教会のキーワードが並ぶ。創刊500号の記念祝賀会では、代表が「学内の共産主義と戦ってきた」と挨拶。祝賀会には議員ら錚々たる顔ぶれが駆けつけ、中曽根康弘元首相らの祝電も届いた。
東大に限らず、各大学のサークルは宗教団体や悪質商法などに利用されてきた。かつて記者が学生だった頃には既に、これらの諸団体が素性を隠して勧誘等を行うことを目的とした「偽装サークル」が問題になっていた。入学時のオリエンテーションやキャンパス内の掲示物で、繰り返し注意喚起がなされていた。
当時の実体験を紹介しよう。他の大学に通う友人に誘われて、インカレサークル(複数の大学の学生で構成されるサークル)の飲み会に参加した。年末近い時期で、場所は池袋駅西口(東京都豊島区)付近の居酒屋だった。
参加者の中に、上智大学の学生と称する人々がいた。ヨーロッパやインドの哲学・思想・宗教、国際協力などの勉強会を開催しているという。飲み会に来た学生たちに勉強会への参加を手あたり次第に呼びかけていた。クリスマスにはゴスペルコンサートがあるとのことで、そのチラシも渡された。明らかに怪しかったので、以来、このサークルに顔を出すことは一切やめた。
統一教会に世間の関心が集中している今、他の競合する組織はここぞとばかりに活動を推進しようとしているかもしれない。くれぐれも注意していただきたい。

高橋
ニュース系の記事を担当。他では読めないスクープ性の高い情報や、独自取材による問題の掘り下げを重視しています。