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太田光の「統一教会」炎上騒動、誰も指摘しなかった問題


11月6日の「サンデージャポン」(TBS)での、爆笑問題・太田光氏による統一教会をめぐる発言が各所で物議を醸し、炎上した。これまでも統一教会関連の発言が話題になってきた太田氏。この日も放送直後から、ニュース記事でも扱われた。

 

 

注目されたのは、「天寶(てんぽう)」という言葉。先祖代々の怨念を解くことで与えられる称号で、先祖の供養には莫大な金額がかかることの問題が論じられた。すると太田氏は、キリスト教でも天地創造の物語と進化論が相容れないように、どの宗教にも教義が現代科学の常識に反する側面があることに言及。

 

 

教義と科学の不一致という理由で、統一教会を否定するのは妥当ではないというのだ。それに対し、ジャーナリストの鈴木エイト氏は、統一教会が人類の歴史を6000年と主張することに着目。430代というとそれよりも前の出来事になってしまうと、矛盾を指摘した。この件で、番組出演者もニュース記事の執筆者も、誰もが見落としている問題がある。

第一に、現代の欧米社会では進化論を受け入れている人々も多い。聖書の物語は人間存在の意味を問うものであり、科学や史実とは次元が異なるというのだ。一方、聖書の教えを文字通りに信じる「原理主義」の人々は進化論を否定する。このように一口にキリスト教と言っても多様であり、太田氏の主張は話を単純化しすぎている。

 

 

第二に、「6000年前」説は虚偽だという批判に対し、統一教会は既に1989年の刊行物で、この数字は聖書の物語に即したものであって史実ではないと反論。人類の歴史はそれ以前から続いていると認めているのだ。その意味で、今回の鈴木氏の批判は有効とは言えそうにない。

太田氏と鈴木氏はそれぞれ立場が異なるが、いずれも十分な裏付けを欠いたままでの議論が大々的に放送され、ネットで情報が拡散される。そのことが一層の混乱を招くという、嘆かわしい事態だ。

 

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