幼い命を守るために

現在私は探偵であり、プライベートでは３児の父でもあり、子どもが事件や事故にあうという報道を見ると、とてもやるせない気持ちになる。

最近では神戸市西区で6歳の男の子の遺体がスーツケースに入れられているのが見つかった事件や、2021年に大阪府摂津市で3歳児に熱湯をかけて殺害した事件の裁判で検察が懲役18年を求刑したこと等、幼い子供への虐待や殺人の報道を聞かない日は無いというくらい毎日何かしらの報道を目にする。

いつの時代になってもこういった事件が起きるが、2014年に大阪で起きた事件で私が特に印象に残っている事件の話をしたい。

ある女性が自宅の浴槽で出産し、赤ちゃんは死亡。女性はその後、病院に出産したことを伝え、3日後に逮捕。当時その女性には夫と高校生の娘と中学生の息子がいた。女性は妊娠していた事実を家族に隠していたのだ。隠していたということは夫との間にできた子ではないということだ。探偵という仕事をしていると不倫相手との間に子どもができたという話はよく聞くが、この女性の場合は少し事情が違う。

女性は風俗店で働いていたのだ。

大阪の風俗はソープが無く、いわゆる「ヘルス」と呼ばれているものが大半で基本的に「本番行為」と言われるものが禁止されているが（例外有り）、実際は女性が拒否しなければ「本番行為」が行われているのが現実だ。逮捕された女性は不特定多数の客を相手に「本番行為」を行い妊娠してしまったのだ。

何故この事件が私にとって印象に残っているのかというと、家族には内緒で風俗店に勤務している女性をたくさん見てきたからだ。夫からの依頼で専業主婦の妻が昼間に何をしているのか知りたい。妻が浮気をしているかもしれない。そういった依頼の調査の結果、風俗店に勤務していたということは数えられないほどある。探偵という仕事をしていると風俗やクラブといった夜の業界とはかなり近い関係になる。

このような経験からこの事件が印象に残ったわけだが、どういう理由であれ幼い命が亡くなるのは無くさなければならない。この事件の場合、家族に内緒で風俗で働いていたこと、1人で抱えていたことが原因なのではないかと思う。幼い命が亡くなる前に家族に言えなかったのか、誰かに相談できなかったのか。誰かに話をするということは、それが知らない人であっても、話をするだけで気持ちがラクになるものだ。何か悩みやトラブルを抱えている人は事件が起きる前に、誰かに相談することをお勧めする。

幼い命を奪ってまで守る秘密など無いのだから。