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経済無策が酷すぎる

 前回ここで、岸田首相は経済に関心ないと説明した際、その最後に“みんなで怒りをぶつけていきましょう”と書きましたが、どういった手段が一番効果あるのか教えてと読者の高森さんからご下問がありました。

 個人的に効果あると思うのは、やはり皆さんの地元の自民党議員の事務所に直接文句を言うことです。別に皆さんが自民党支持者でなくても構いません。有権者の声は大事にされるので、文句が大きくなれば危機感を政策に反映してくれるはずです。教育が行き届いている事務所のスタッフだと、困っている有権者に対して政府の政策でどういう支援措置があるかも教えてくれます。
それに対して、野党、特に立憲民主党の議員を頼っても、正直あまり意味ありません。政府与党の批判しかしませんし、政府とのつながりも当然弱いので、不満は聞いてくれるかもしれませんが、それ以上のアクションは期待できません。

 あと、やはり有効なのはソーシャルメディアで怒りを広めて大きな動きにすることです。政治もメディアもネット世論を気にしていますので、怒りを発信し続けて賛同の声を集めるのも効果あります。
こうした動きをそろそろ真面目に強化すべきです。岸田政権の経済無策はちょっと酷すぎます。ガソリン代と電気代の補助金延長の動きが遅かったのは既に書きましたが、それだけではありません。
例えば、今の円安を放置しているのは本来あり得ません。東京都心のマクドナルドでビックマックを買うと一つ500円ですが、今の為替レートだと、ニューヨークのマンハッタンの中心部で買ったら一つ1,000円です。つまり、今の円安だとまだ様々な商品、サービスの値上げの余地は大きいとなりますし、それだけ日本は相対的に貧しくなっているのです。

 また、コロナ禍で中小企業支援のために始まった無利子無担保融資(“ゼロゼロ融資”)の返済が始まり出したことで、中小企業の倒産件数が激増していますが、それへの対応もまだ無策のままです。
 政府与党はこれから経済対策を作って秋の臨時国会に補正予算を提出予定ですが、それだと実際に補正予算のおカネが世の中に出回るのは来年になってからですので、遅すぎるのです。
 政治が民の声に鈍感で、ダメな政治主導が過ぎて官僚が受け身で愚鈍になってしまった末がこの体たらくです。
でも、日本の経済はまだ悪いままなんです。やっとコロナが終わって多くの人が旅行するようになり、外国人観光客も増えて、株価も日本経済の実力以上に上がってしまったので、何となく景気が良いようにみんなが思っているだけです。そろそろみんなで真剣に怒りましょう。

 

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。

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