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孤独の刃【枚方市19歳女子大生刺殺事件】前編

被害者の渡邉華蓮さん、ご遺族の方々

 お悔やみ申し上げます。

枚方市の皆様
 恐怖と動揺の中、取材にご協力いただきましたこと感謝申し上げます。

 通行人が事件現場の建物をふり返る。2人で並んで自転車をこぎながら、訝しげな顔をする若者。日傘の下でしばらく建物を見つめて、何かを思うひとりの女性。

 大学のある街は治安が良いときく。学生寮や飲食店、周りの「目」がある。被害者が通っていた関西外国語大学の敷地はひらけていて、建物も新しくてきれいだ。緑のある街並みにごみや汚れは特に無く、のどかな雰囲気が漂っていて、若者も高齢者も日中の出入りが多い。自民党の選挙看板。私と同じ28歳の女性が活躍している。選挙カーが溌溂と透き通る声を響かせて、事件現場の前面道路を通り過ぎる。

―こんな街で、殺人事件が起きるとは。

●事件現場
被害者が通っていた関西外国語大学の女子学生専用集合住宅。
ドラッグストアや飲食店が近く、「防犯の目」はゼロではなかったはずだ。

●事件当事者の人物像
被害者:渡邉 華蓮さん(19) 福島県出身
 明るくて気さくだったと評判。自宅付近の関西外国語大学に通っていた。常に友人と共に行動していたという。高校時代に通っていた学習塾のサイトには大学合格者として載っており、そのコメント文からは評判通りの前向きな性格が想像できる。
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容疑者:西光 勝(26) 兵庫県明石市
 小学校の文集では友人のことを綴り「毎日毎日、いろいろなことを笑いながらしゃべったりして本当に楽しかったです」と明るい子供だったことが分かる。中学2~3年ではよく先生に注意されていたようで、不登校になったという情報がある。
 26歳現在は「全身黒色の服を着て、大人っぽいイメージ」という近隣住民の声。これまでの生い立ちで、性格が大きく変わるような出来事があったのだろうか。

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●当事者の出会いから事件までの経緯
 被害者の友人の証言によると、二人は3か月前にインスタグラムで知り合って交際。容疑者は合鍵を持っており被害者と半同棲していたが、2か月前から関係が悪化。被害者はストーカー被害にあっていたが、相手への恐怖で警察に相談できなかった。

●事件内容(容疑者の行動)
被害者からの別れ話に逆上 → ストーカー行為 → 被害者宅にて刺殺 → 被害者の遺体にふとんをかける・血の付いた刃物は床へ → 合鍵で被害者宅の玄関を施錠 → 電車で小一時間の距離にあるホテルに潜伏 → 睡眠薬を大量にのむ・宿泊代を払えなくなる → ホテルにて警察に白状する → 「殺した」という内容の紙のメモ・被害者のものと思われるスマートフォンが押収される

 容疑者は、最後に無理心中をしようとしたかも知れないことがわかっている。
被害者に対する「ゆがんだ愛情」や「交際していたころの思い出・記憶」が頭をよぎりながら、この数日を過ごしていたのだろうか。
 そしてなぜ、容疑者は殺害したあと彼女のスマートフォンを持ち出したのか。私個人の見解ではあるが、証拠隠滅や事件発覚の遅れを図ったにしては他の隠すべき部分がいい加減だ。「二人の出会いがインスタグラムだから=思い出の品はスマートフォン」…とでも言いたかったのだろうか。

●取材項目
① 当事者について知っている事
 ニュースで見る限りの情報のみか?近隣住民の場合は、普段の生活や揉める様子など見聞きしたか?

② 被害者側にも責任があるとしたら何が考えられるか?

③ 「探偵」「興信所」という職業の存在、業務の一環でストーカー行為の調査・証拠取りも可能なことを知っているか?
 今回のようなストーカーによる殺人を未然に防ぐためには、当事者と周りに「防衛知識」「民事の証拠集め」が必要。警察に助けを求めても、「証拠不十分」と見做される場合がある。現に「警察が接近禁止命令を実施しても、交際相手の男が社会に背いてホステスを殺した」あの博多の事件が起きている以上、もはや警察の力だけでは防げないのが現実だろう。

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 女子学生からは「男性に対する恐怖が増した」「防犯や男女交際にあたって、今までよりも注意していきたい」…男子学生からは「気持ちのやり場が無い」「自分の大切な彼女の気持ちを、今以上に考えて向き合っていきたい」などという声があった。

 日中の人の出入りが多い街の空気感とは裏腹に、当事者の具体的な普段の様子についてはあまり情報が得られなかった印象。小学生を見守るのと大学生を見守るのとでは、周囲にとってもやはり温度差ができてしまうのだろうか。

 

(後編へつづく)

 

探偵3号
日本大学藝術学部出身。オールラウンダー的存在を目標に、
ガテン職時代に培った「気合」と「根性」で駆け抜ける。
ニシキヘビの美子(よしこ)と二人暮らし。
<駆け出し探偵記>

 

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