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孤独の刃【枚方市19歳女子大生刺殺事件】後編

枚方市の皆様、関西外国語大学の関係者様へ
 5月22日の取材にご協力いただきましたこと、感謝
申し上げます。二度と殺人が起こらないことを願って、防犯と民事相談の在り方を共に考えていけたらと思います。

 

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【近隣住民は―】

「(取材項目②について、被害者にも責任があるとしたら)知り合ったばかりの男性を信用しすぎていたこと。合鍵を簡単に渡すなんて、自分だったら考えられない」


「…ごめんなさい……」
 取材拒否の重い言葉からは、身近な恐怖に対する拒絶と悲哀を感じとった。同じ女子大生として精神的負担が大きいことは言うまでもない。

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【関西外国語大学の教務部・学生部は―】

教務部N氏 「被害者は英語キャリア学部・英語キャリア学科の学生だった。生前の普段の様子までは把握できていなかった。大学内に学生用の相談窓口を設けてはあるが、これまで被害者が相談しに来たことは一度も無かった。今後の対策等については、具体的にはまだ決められていない」


学生部U氏 「(取材項目②について)探偵の職業、ストーカー対策や証拠保全等について(私個人としては)知らなかった。今回の事件で学生達もかなり動揺している状況。見えないところでストーカー被害にあって、声をあげられずに悩んでいる学生は被害者だけではないと思う。今後学生から相談があった際にできることは、知識として探偵業を含む民事相談の存在を伝えることだと思う」

 
 法的に定められたストーカーの要件、具体的に警察が動ける内容、刑事・民事の違い、そして探偵の存在。
人生経験の長い大人でも「知らなかった」が当たり前の、自分が被害にあって初めて知る恐怖。
死んでしまってからでは遅すぎるのに、まだ社会を知らない19歳が知る由もないという現実。
 警察や弁護士が実働して証拠を集めることは無い。自分で証拠を取るのが難しい・相手に対する恐怖で身動きがとれない人のために、我々探偵が存在しているのだ。


【町の声は―】
 古い喫茶店を訪ねた。次から次へと入ってくるお客は、当然のように名前を呼び合う顔なじみ。
ニュースで事件のことは知っているが、当事者はもちろん若者との交流が一切無い、と悲しげに話す
50~60代の女性店主と男性客。


女性店主 「50か所以上も刺されたって…合鍵、渡したのがいけなかったね。まだまだ、人生これからだったのに…」

男性客 「(容疑者と被害者は)年齢差があるよね。自然な出会いとは思えない。最近のインターネット系の出会いは、やはり怖い。 ―(容疑者は)消費者金融、借りてたんだって?― 痴情のもつれで、なにも命まで奪わなくたって…信じられない!」

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●犯罪の最たる要因は「孤独」
 容疑者も容疑者で、インターネット上であることないこと書かれている。前述したように「大きく性格が変わるような出来事」があったのかもしれないと考え始めると、もしかしたら昔、いじめ・家庭環境・差別など、社会が無意識で作り出した「敵」に囲まれて育った背景があるのかもしれないとも思う。
 やっとのことで自分の存在を受け入れてくれた「味方」である恋人が、自分のもとを離れるとなると、依存する場所(=生きるための場所)が奪われた感じてしまう人間もたしかに存在する。
 「彼女がいない人生=無意味=死」の思考回路になってしまうのも、まったく理解できないとは言い切れない。どんな犯罪者も、生まれたばかりのときは無垢な赤ん坊だったからだ。育った環境のせいにしてしまえばそれまでだが、自己と社会の関係性を見誤った犯罪者にとっては「極端に狭い共依存的なコミュニティ」とか、刑務所でこれから出会う他の犯罪者たちこそが「自分と似た境遇に生きて、社会に迫害された同胞」なのである。

刑事事件になる前に、民事の我々にできること
 ストーカー対策とその証拠取りには「民事」の協力も必要である。被害者は「相手への恐怖で警察に相談できない」まま、殺された。社交的な性格は「あと一歩の勇気」にまでは届かず、自分と同じ社会をまだ知らない女子大生の友人にしか話せなくなるほど、追い詰められていたのだ。
 警察に相談する際のハードルが高いから、警察に確実に守ってもらうために証拠をとる。そのために存在する「探偵」という調査業・民事相談窓口のことを、全く知らない人が想像以上に多い現状であることが、今回の取材でわかった。
 事件が起きるその前に、二度と悲しい殺人が起きないように。我々は立ち止まって考えて、自分と大切な人の身を守る方法を知って理解し、共通認識をつくっていく必要がある。

 

(おわり)

 

探偵3号
日本大学藝術学部出身。オールラウンダー的存在を目標に、
ガテン職時代に培った「気合」と「根性」で駆け抜ける。
ニシキヘビの美子(よしこ)と二人暮らし。
<駆け出し探偵記>

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