結婚式の「代理出席」は、いまや珍しいサービスではありません。しかし、世の中には結婚式だけでなく、葬儀に参列する人を代行するサービスも存在します。

依頼するのは、故人の遺族です。では、なぜ遺族は、故人と面識のない人を葬儀に呼ぶのでしょうか。
代理出席サービスを提供する業者に話を聞くと、依頼の背景にはさまざまな事情があるといいます。
「一番大きいのは、葬儀に来てくれる人が少ないことへの不安です。特に故人が高齢で、友人や知人がすでに亡くなっていたり、遠方に住んでいたりすると、参列者がほとんどいないことがあります」
つまり、遺族が「故人にはこれだけ人付き合いがあった」と周囲に見せるためだけではなく、葬儀という場を少しでも寂しいものにしたくないという事情があるようです。
なかには、故人の仕事関係者として参列してほしいという依頼もあるといいます。
「例えば、会社を経営していた方の場合、取引先や元従業員など、仕事関係者が参列する葬儀を想定していることがあります。ただ、実際には呼べる人がいない。そういう場合に代理出席を利用されることがあります」
では、依頼された代理出席者は、葬儀で何をするのでしょうか。
基本的には受付で記帳し、焼香をして、葬儀の進行を妨げないよう静かに参列します。重要なのは、遺族や他の参列者から不自然に見えないことです。
「事前に、故人との関係性や設定を細かく確認します。ただし、こちらから積極的に話しかけるようなことはありません。聞かれた場合に、矛盾しないようにするためです」
ちなみに、身代わりに号泣する「泣き女(プロの参列・代理泣き)」の風習が多い国や地域は、中国、韓国、台湾、アフリカ諸国で、日本より先んじて広く使われているようです。
葬儀に他人を呼ぶ―。
一見すると奇妙に思えるサービスですが、その背景には「参列者がいないことへの寂しさ」や「故人をきちんと送り出したい」という遺族の思いがあるようです。

櫻麗
猫と紅茶があればご機嫌です
