この前久々に原稿を書いたらすぐにBOZZから反論が来たので、実は最初内心ビクビクしてました。BOZZの慧眼に真っ向から反論されたら勝てませんので。。。実際には優しい反論だったので、ホッとしました(笑)
ところで、マイネルさんから以下の質問をいただいていましたので、私なりの考えを書いておきたいと思っています。
ナフサは足りているとの政府発表と、実際に現場で起きていることのギャップについて、今後はその解消に向かうのか?それとももっとひどくなっていき、実は今現在がゆでガエル状況にあるのか?無論ホルムズ海峡がすぐに開けば、解消に向かうとは思いますが、今現在の状況が一定程度続くものと仮定してお答えいただくと助かります。
ナフサは足りているという政府発表に、当然ながら嘘はありません。ただ、原油と違ってナフサは国家備蓄がないので、民間の側の在庫などの量を足し合わせた計算上の数字になります。
そして、難しいのは、ある程度十分な在庫があるからと言われても、民間の側が冷静な行動をするとは限らないということです。
ナフサの供給が逼迫するかもという心配が募ると、ナフサ由来の製品を供給する側はすぐに在庫を全部出すことはしないでしょう。ナフサの価格が既に2倍くらいに高騰している中では尚更です。また、需要側の企業も自分の製品を安定的に供給するために、普段より多めの量を欲しがるかもしれません。
要は、心配が募った個々の企業がみんな安全サイドを考えた行動をする結果、全体としてはパニックまでには至っていないものの、流通の目詰まりが生じていると思います。
その目詰まりを解消するために、経産省などは総力を挙げて頑張っていますが、ナフサ由来の最終製品はなんと何百種類もあるので、そのすべての目詰まりを解消するのは難しいと思います。
幸い、米国とイランの停戦とホルムズ海峡解放は遠からず実現しそうですが、それでも原油やナフサの供給が戦争前に戻るには半年はかかると思うので、今の混乱と物価上昇は年内は続くはずです。
トランプのアホな決断(&それをそそのかしたネタニヤフの自分勝手)がこれだけ日本そして世界に悪影響を及ぼしているのは、本当に腹立たしいです。11月の中間選挙ではトランプが惨敗してほしいですよね。
安全のためになるべく多くの量を求める供給側について考えると、ナフサ由来の製品によっては中小企業も多い中で、将来的に原料の入手が厳しいと予想されると、在庫はあっても供給を絞ったり価格を上げるといった行動になると思います。
次に、ナフサを使う需要側について考えると、日本企業は慎重すぎるくらいに手堅い経営を行なうので、ナフサ由来の製品の供給が安定的に確保できないと思ったら、包装袋をカラーから白黒に変えるような過剰な反応が出るのはやむを得ません。
かつ、特に食品については、これまでのデフレと激しい競争で、原価をギリギリまで削って最少の利益で商売をしてきたはずなので、その状況でナフサ由来の製品の価格が大幅に上がったら、利益が吹き飛んでしまうかもしれません。としたら、コストカットのために包装袋を簡素にするという行動もあっておかしくないのではと思います。
要は、かつての石油ショックやコロナの時のように、国家備蓄がない中で多くの関係企業が不安心理に囚われた結果として、ナフサ由来の様々な製品の流通経路で目詰まりが起きているのではないかと思います。

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。
