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風疹にかかってなく予防接種も受けてないのに抗体あり?奇妙な検査結果の理由

風疹の感染拡大

空前のラグビーブームに沸いた日本。ワールドカップ日本大会で大活躍した日本代表の選手たちを、厚生労働省がキャンペーンのポスターに起用したことはご存じだろうか。同省が展開している、風疹の抗体検査及び予防接種の推進のための取り組みの一環として作られたものであり、風疹の感染拡大を「止める」ことを訴えている。

 

出典:厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/content/000536925.pdf

 

昭和37年度から53年度の間に生まれた男性には、過去に公的に風疹の予防接種が行われていない。そのことが原因の一部となって、風疹の感染拡大が問題になっている。成人が風疹に感染した場合には重い症状が出ることがあり、妊娠初期の女性に感染すると生まれてくる子供の健康への影響も懸念されるという。

そこで、上記の期間に生まれた男性を対象に、風疹の抗体検査及び予防接種を無料で受けることができるクーポン券が、各自治体から送られることになった。このたび当サイトに情報を寄せてくれた読者にも、クーポン券が送られてきた。これまでに風疹にかかったことはなく予防接種も受けていないので、医療機関で抗体検査を受けたという。

 

抗体検査を受けた後に撮影したものであるため、クーポンの一部は剥がした状態になっている。
(個人情報が記載されている部分に、当サイトにてモザイク加工を追加。)

 

クーポンに同封されていた説明資料の一部。


抗体検査の結果

検査の結果は、意外なものだった。なぜか抗体があるというのだ。その理由を医師に問うと、「この検査だけでは、よく分かりません」との答えだった。実際には過去に予防接種を受けていたが、それを覚えていなかったという可能性があるのではないかと、医師は述べた。だが、その可能性は限りなく低いはずだと、情報提供者は考える。

抗体検査を受けるに先立って、情報提供者は実家に帰省した際に、風疹への感染や予防接種の有無を母親に尋ねていた。母親曰く、「あんたは風疹にかかってないし、予防接種もしてないよ」。母親が保存していた母子手帳には、各種の予防接種を受けた年月日が記載されていたが、風疹の予防接種の記録は見当たらなかった。

そのことを医師に説明すると、「昔のことだから、公的な予防接種以外は(母子手帳に)正確に記録されていない可能性もあるかもしれませんね」と言われたそうだ。当サイトでは、情報提供者が幼少時に通っていた病院に取材を申し込んだ。だが、当時とは経営者が異なり、かつての状況を把握している職員もいないため、詳細は不明であるという。


厚生労働省の見解

続いて、厚生労働省の結核感染症課に話を聞いた。情報提供者のように、風疹にかかっていなく予防接種も受けていないにもかかわらず、抗体があるという検査結果が出るのは、なぜだろうか。このように尋ねたところ、「あくまでも推測に基づく一つの可能性」であるという前提で、担当者は次のように述べた。

 

厚生労働省が入る建物。

 

「幼少期等に風疹にかかっていても、分かりやすい症状が出なかったという可能性はあり得ます」。顕著な症状が出ないまま、回復する場合があるというのだ。また、前出の医師が述べていた、「予防接種を受けていてもその記録がない可能性」については、法律に基づく定期接種以外の任意でなされたものは、自治体には記録が残らないそうだ。

ちなみに、抗体は時間の経過とともに次第に失われることもある。それゆえ、「検査を受けてみて、抗体が少なくなっていることが判明した人は、予防接種を有料で再度受けておいた方がよい」という意見もあるようだ。この点については、「任意での接種については、各自の判断に委ねたいと思います」とのことだった。

 


高橋 

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