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『評価が難しい映画のランキングサイト』岡田斗司夫

グルメサイト以外で、僕がよく使うランキングサイトが、映画ドットコム。
上映中の映画のランキングサイトだ。

映画ドットコムで3.5ポイント以上だったら、たぶんおもしろい映画だと考えて、見に行くことにしている。
見に行く直前に、映画ドットコムで念のため確認したら3.0。では見に行かない。
そういうことがけっこうある。

こないだまでやっていた『ファンタスティック4』はマーベル系の映画だから、本来だったら、僕は万難を排して見に行く映画だった。
でも映画ドットコムでは3.0以上にあがらない。
もうこれはダメだろうということで、見るのをやめることにした。

楽しみにしていた三谷幸喜監督の『ギャラクシー街道』なんて、評価2.0!
怖くなって、これまた見に行くのをやめた。

映画は、グルメより、さらに一般的な評価が難しい。
どれくらい楽しめたら「おもしろい」と評価するのかが、圧倒的に違うのだ。

グルメは、「おいしい」「おいしくない」のボーダーが、わりとみんな同じじゃないかな?と思う。
点数にすると、普通においしいという、心の中の標準値が50点ぐらい。50点以上ならおいしいと評価し、50点未満ならおいしくないと評価する。
びっくりするほどおいしくなくても、最後までおいしく頂ければOKというジャッジになるんじゃないかな?と思う。

ところが映画の場合は、80点以上でないとおもしろいって言わない人がいる。かと思えば、40点超えたらおもしろいって言っちゃう人もいる。
人ごとに、バラバラすぎる。

おまけに「好み」の偏りが、味の比ではないくらい大きい。
あるレビュアーが、この映画がおもしろいか、おもしろくないのかという根拠が、本当にバラバラなのだ。

マニア向けのマイナーな作品にばかり、やたら高い点数をつける人もいる。ものすごい数の映画を見ている人だからこそ面白いと言えるんだろうと思うんだけど、うかつに参考にはできない。
俳優の◯◯さんが出ているからとにかく面白い、と評価しちゃう人もいる。

肉さえあればおいしい、アボカドさえ入ってればおしゃれ、激辛だったらなんでも好き、と同じようなノリだ。
でも、食べ物なら多くの人が発言するから、レビューはたまりやすい。そういうのも含める結果、グルメ系の評価サイトはバランスがとれる。

が、映画は採点する人が少ないし、発言しにくい雰囲気もある。
すごくメジャーな映画でも、映画ドットコム見をると、レビュー数が30とか40くらいしかない。だから、平均値がとれないのだ。

そういう僕自身も、映画サイトの信頼性を下げる原因になっている。
僕が「この映画のおもしろい!」って言い出す時は、だいたい90点が基準なのだ。
僕はわりと映画を見てるほうだ。毎週平均1本以上行ってるから、映画館で見てる本数だけで年間80本くらい見てると思う。
で、その80本見た映画の中で、おもしろいといえるのは、年間5本くらい。

これを他人に話すと、岡田さん何のために映画館行ってんですか?と言われる始末だ。
それでは、お金が勿体無いでしょう?という人もいるし、時間がもったいないでしょうという人もいる。

でも僕にとって、面白い映画と、面白くない映画というのはそれくらいの差があるのだ。
80本のうち5本だから、16本に1本が当たりという計算になる。率が悪くても、僕にとっておもしろい映画はとことん大切だからかまわない。

おもしろい1本の映画に出会うために、1800円×16回=28800円払い、2時間×16回=32時間を費やしていると考えればいいのだ。
と、自分に言い聞かせている。

僕にとって映画は、3万円を払い、32時間かけて、たった2時間を楽しむ娯楽なのである。
こりゃレビューも辛くなるよね。

岡田斗司夫 岡田斗司夫

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