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『千原ジュニアが結婚したけど』岡田斗司夫

最近、芸人さんと話をする機会が増えてきた。
「よしもと」の芸人さんばかりじゃなくて、TV番組とかライブとかいろんな場所で、いろんな芸人さんと世間話してる。

「こんな彼女がほしい」「こんな嫁がほしい」という話がでるのだけれど、どうも最近、30~40代の芸人さんが彼女や嫁さんに求める条件が変わってきているみたいだ。

かつて「いい彼女」と言えば、まず「若くてかわいい子」それから「ご飯を作ってくれる家庭的な子」というのが定番だった。しかし、最近、それが崩れてきている。
今、若手を過ぎた中堅芸人さんが注目しているのは、30代の頭のいい女。

若い子にこだわるのは、まだかけだしの若手芸人。そこそこ遊びおちついてきた芸人さんたちは、口をそろえて「30代の頭のいい女性」とつきあいたいと言う。

こうなった理由を、僕なりに分析してみた。

スマホが普及するようになって、実は教養格差が激しくなってきた。二極化がすすんだとも言える。
例えば『駆込み女と駆出し男』という映画。冒頭で大泉洋が、江戸の流行り言葉(ダジャレとか地口)で、下女とやりとりする。
べらんめぇ超スピードでのやりとりには、圧倒される。
僕は江戸時代の専門家ではないけれど、一応57歳なりの教養をもっていると思っている。普通の時代劇レベルの用語はほぼ分かる。
しかし、このシーンは真剣に見てても、半分くらいの言葉がわからない。そういう知識がないと退屈する映画ではない。雰囲気だけでも十分楽しめるようにできている。

それでも、日本語の専門家・井上ひさし原作のこの映画は、こういうおもしろさがわかる人のために作ってますよ、というのが伝わってくる。
わからなければ、調べれば良いのだ。そのためにスマホがあるんだから。
しかし、大部分の人は調べない。調べずに雰囲気だけ楽しむ。
結果、表面的な面白さだけ受け取って「面白くな~い」という層と「勉強になった。面白かった」と言える層に分かれるのだ。

頭の悪い人というのは、自分の周りのことしか知らない。知ろうとしない。
スマホが情報源の人は、スマホで見られることしか知らないし、知ろうとしない。例えば本に書いてある情報の話をしても、「え?スマホで見られないの?じゃあ、知らな~い」となる。読むように勧めても、意地でも読まない。

芸人さんたちは、インテリ集団でもなんでもない。
でも、もの知りであることはウリになる。
将来、情報バラエティでMCを任されたりすることもあるかもしれないのだ。少しずつでも歴史、社会、経済を知っておかなければと、さまざまにアンテナを張ったり勉強したりしている。
なんだかんだ言っても、勉強熱心な人が多い。そういう人でないと生き残らない。

そんな話題にまったくのってこられない彼女や嫁では会話に困る。
そこで「30代くらいのねぇちゃんで、頭のいい人いないかな?」となるわけだ。

芸人さんの間だけの話に限ったことではない。向上心のある男性の趨勢だと思う。
「出世する男」にもてたい女の子は勉強をしたほうがいいと思う。
少なくとも、知らなかったら調べてみよう。わかったら、「へ~、そうなんだ」と楽しもう。
お笑い芸人さんですら、あんなに勉強熱心なんだから。

 

岡田斗司夫

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