英語化もされたこのシリーズ。
非常に多くの反響を呼びましたが、ペットを簡単に捨てる人が後を絶たない限り、殺処分の現実は変わっては行きません。
しかし、一方で「一匹でも多くの犬や猫を救いたい」と活動している人たちもいます。
9月18日。大阪門真にて動物愛護団体が保護している犬や猫たちの「譲渡会」が開催されました。
団体ごとの譲渡会はしばしば開かれていますが、今回なんといっても特別なのは、
・PEACEWAN(主催者) ・Wan life
・アイコのおうち ・あにまるライフ豊中
・FPCA ・Pure Heart Lovers
・VOV ・DOGLUCK
これらの合計8団体が一同に介しての譲渡会であるという点。
11時に始まったこの「譲渡会&バザー」 台風の影響も心配されましたが、
始まってみれば200人以上が訪れる盛況となりました。
子供達の姿も多い。
バザーも同時開催。
『動物愛護団体は各々個性が強く、それぞれの特色もあるため、なかなか同調して譲渡会を開催するということができないものなんです。8つもの団体が一同に介して、というのは日本初なんじゃないかと思います』
と語るのは主催の「PEACEWAN」代表。
『大きな団体とは違って、ネームバリューの無い小さな団体では、一人の里親さんを探すことも難しい状況なんです。
それで今回「細かいことはお互い口を出さず、とにかく集まって譲渡会をしよう」ということになりました。
小さな団体でも集まって、大きな開催にすることができれば、今まで目の触れられなかった子たちにも、里親を見つける機会を増やすことができます。
それだけでも大きな成果と言えますし、数多い団体が集合すれば、ひとつの小さな団体では難しい「企業からの協賛」も得られるかもしれない。
そうすれば、一人でも多くの犬や猫の里親を見つけることができるし、啓発活動も活発にできる。業者の方々もこの問題への力に入れ方が変わってくるかもしれません。
こういう子たちを少なくすることができるんです。
この子は今回、無事里親が決まったとのこと。
地域ごとに集まっての譲渡会やバザーを開いていければ、少しでも多くの里子たちを助けることができるのではないでしょうか。
そのためにも、こういう機会が増えていけばいいと願っています』
会場を見て回ると、思わず抱き上げたくなるような可愛い子たちが。
愛らしい姿に思わず忘れてしまいそうになるが、この会場に集まった犬猫たちは全て「飼育放棄」された子ばかり。
中には、虐待飼育のため傷を負った子も見受けられます。
両目にひどい傷を負って失明したシーズー犬。数時間おきに点眼しなければならないため譲渡会にも不参加。
早急な手術が必要なのだが、手術費用が捻出できない。
この子は片目に傷を負っているようだ。
『この子たちは悪質なブリーダーの元で虐待飼育を受けていたんです。100匹くらいを保護しましたが、かなり酷い状態でした』
犬たちを救出したときの映像パネル
『今ではずいぶん回復して、半数近くが引き取られましたが、まだ半分以上里親が見つかっていません』
室内で飼える猫は、犬よりも引き取られやすい。しかし、なにしろ数が多い。
『猫が捨てられる場合は、5~6匹一度に、という場合が多いんです。中には口を縛った コンビニ袋に詰めて捨てられていたケースもあります。まるっきりゴミ扱いで』
中型・大型犬は「飼育に庭が必要」「必要な運動量が多い」など条件が多いため、里親探しは大変なのだそう。
『声をかけてくれる方は多いのですが、大型犬だと「室内で飼えない」という方が多くて……でも、ポインターなどは冬には室内に入れないと死んじゃう場合もあるんです。やはり、条件が多いと貰い手は少なくなります 』
『じゃあ、どんな子が貰われやすいのかというと……「縁」のある子、でしょうかね? 怪我をしていたり見栄えのよくない子でも、全然気にせずに引き取ってくれる人がいるかと思えば「こんなに可愛いのに」という子でも、なかなか貰い手がつかなかったり。これはもう「縁」としか言い様がないです 』
『ただ、譲渡契約書にもありますが、責任を持って愛育できない方にはお譲りできないし、譲渡条件を守れない人からは返してもらうことにしています。 』
『ここにいる子たちは、一度ひどい目にあった子たちばかりです。もう二度とそんな目に遭わせたくはないですから』
虐待飼育からやっと救出された子。警察に届けられたところを保護された子。
殺処分寸前までなったが、すんでのところで助け出された子。
しかし、ここにいるのは、まだ幸運な一部と言えるでしょう。
保護された数に数倍する犬猫たちが、今も殺処分場にて命が消されて行っているのですから。
シリーズ「ペットブームの陰に・・・」の中の一文を抜粋しておきましょうか。
「あなた達が捨てたら、捨てたペットはこうなるんだよ」
せめて、この子たちの未来が明るいものであることを願わずにはいられません。
九坪 & 山木