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不祥事は大抵が内部告発から ~ハイリスクにも関わらずなぜ踏み切るのか

ここ最近、企業や組織の不祥事が「内部告発」によってかなり頻繁に表面化しています。

(1)中古車販売会社での保険金水増し請求とその背後に存在したパワハラ事件
(2)大手芸能事務所での未成年者への性加害行為
(3)陸上自衛隊での女性隊員への性暴力
(4)某歌劇団員の過重労働とパワハラ
(5)京都の花街での未成年飲酒や不適切行為…。

ぱっと思い出せる範囲でも、社会的に影響力を持つ組織での不正行為が「内部告発」によって明らかにされていることに驚きを隠せません。

なぜ「内部告発」が社会的に影響力を持つ企業や組織で行われるのか? この問いかけは社会にとっても、組織にとっても、そして我々個人にとっても非常に重要です。なぜなら、「内部告発」は極めて大きなリスクを伴うものであり、誰にとっても非常にハードルの高い実践だからです。

もちろん「公益通報者保護法」が施行されたことから、「内部告発」を余儀なくされた人が法的に保護される仕組みが整いました。しかし「内部告発」に踏み切った人がSNS上で酷い誹謗中傷を受けたり、その組織で冷遇されたり締め出されたりといった事例が頻発しており、「内部告発」をした側の人権が不当に扱われているという実態も事実です。

別の見方をすれば、その人はその組織なり企業なりの問題が内部の自浄作用によって解決を図れないと確信したからこそ、リスクや葛藤を抱えつつ「内部告発」に踏み切らざるを得なかったと考えられます。

一方で、「内部告発」により不正が明らかにされ、その後に改善がもたらされた事例は「エンロン事件」や「東芝粉飾決済事件」など世界中に見られ、そのインパクトは計り知れないものになっています。我々は「内部告発」に至るまでの告発者の葛藤に目を向け、そのことによる社会的なインパクトをしっかりと評価していかなければなりません。

このような問題背景を踏まえ、これから何回かのシリーズに分けて「内部告発」を深く掘り下げていきたいと思っています。この文章の冒頭に挙げた(1)から(5)のなかから、まずは(5)の元舞妓さんによる告発を取り上げ、元舞妓さんに10時間以上に及ぶロングインタビューを実施しました。

彼女がなぜ「内部告発」に踏み切ったか、彼女は今どのような境遇にいるか、告発による社会的なインパクトは何であったか、などを客観的に記していきたいと思っています。彼女とのインタビューは非常に意義深いものでした。

 




次回、「元舞妓さんの告発 -なぜ、彼女は告発を選んだか?-」をお楽しみに。



 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

 

 

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