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ハラスメント大国ニッポン -なぜこれほどハラスメントがはびこるのか-

今日は、日本で激増している「パワハラ」について取り上げます。

日本では、「セクシャルハラスメント」が減少する一方で「パワーハラスメント」(以下、パワハラ)が激増中です*。増加の原因は、パワハラが起こったとき特定の誰かが被害に遭っているにも関わらず、大多数の人が見て見ぬふりをしたり、無関心を装ったりするからです。被害者が声をあげにくい日本の組織では、勇気を出してパワハラ被害を告発したとしても周囲が相手にしてくれなかったり、逆に声をあげた側が責任を問われる事例が報告されており、これは法的にも道徳的にも異常です。

パワハラ体質を放置すると、とんでもない不正問題となって組織に跳ね返ってきます。昨年は、大手中古車販売会社の「ビックモーター」で、極度に不当なノルマが従業員に課せられ、それを達成できない人が侮蔑されたり暴力を振るわれたりしていたことが発覚しました。損保会社に不正請求をするための「改ざん」や「隠蔽工作」までもが黙認されたそうです。パワハラが放置され歯止めが効かなかったばかりか、社会的に大問題になるまでその失態に気づけないこと自体が組織にとっては不幸です。芸能プロダクション「ジャニーズ」にしたって、長年にわたり性的虐待の問題が放置されたせいで実体としての会社は解散させられました。

そういう最悪の事態を招かないためにも、もしパワハラを見聞きしたら小さな一歩を踏み出すことが重要です。とはいえ、正面から戦いを挑むだけがすべてではありません。周囲と相談して不正行為を明るみにするための策を綿密に練りましょう(もちろん探偵だって協力します。お問い合わせはこちらまで)。

ちなみに日本の同盟国である米国はパワハラにどう対処しているのでしょうか。良い機会ですので国際比較をしてみましょう。アメリカの組織の場合、法や制度などに「ハラスメント」を照らし、善か悪か、正義か不正義かを判断します。アメリカは比較的新しく「自由」をウリにしている国であることから、善悪の基準を法や制度の観点から捉える傾向にあります。要は、法律に抵触するかしないかが重要であり、もし抵触したらパワハラを許すことはないし見て見ぬ振りもしません。

これに対し日本は17条憲法の時代(西暦604年)から法や制度で善悪を判断するというよりは「和をもってたっとし」、つまり「協調」あるいは「合意形成」が重視されてきました。このため目上の人には逆らわない文化が定着しています。まずい方向に突っ走ると「下」が「上」に逆らえない体質ゆえ、「下」が法を侵してまで「上」の言いなりになるという事態に陥る危険をはらんでいます。昨今のアメリカには対立や分断といったよくない一面もありますが、パワハラについてはアメリカのやり方を取り入れるべきです。

ということでもしパワハラに遭遇したら、見て見ぬふりをしたり、パワハラをする側の人の味方になったりするのは絶対にやめましょう。

*令和5年度厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」によると男性管理職の24%がパワハラに遭遇しているという。

原稿書き中。

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

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