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「私人逮捕」とは -現行犯を捕まえたい時

最近、立て続けに「地下鉄で痴漢にあった」「多分、盗撮された」といった犯罪に遭遇した話をお聞きしました。たまたま続いただけかも知れないけれど、いわれてみれば私もコロナ禍に白昼堂々と産廃を不法投棄した現場を目撃しました。わりと「これ現行犯じゃない?」と思う場面に出くわすことは珍しいことではないのかも知れません。

犯罪に遭遇したら身の安全が最優先ではあるが、目の前の現行犯をみすみす取り逃がすのは納得がいきません。日本では現行犯の逃亡を防ぐため、いわゆる「私人逮捕」といわれる制度があります。「私人逮捕」とは逮捕状を持たない一般人が現行犯を逮捕できる制度の通称で(正式名称は「現行犯逮捕」という)刑法213条は以下のように規定しています。

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる

要は、何人でも、現行犯逮捕をすることが可能だから「私人逮捕」。2023年の「私人逮捕」件数は約330件で、うち7割が万引きなどの窃盗犯でありました(警察庁の統計)。ほかにも「当て逃げ」「痴漢」「暴力を振るわれた」などで現行犯を確保し警察に引き渡す事例が相次いでいます。

一方、「私人逮捕」は気をつけなければならない点があります。以前、「私人逮捕系」と呼ばれるYouTuberが現行犯を追いかけ回したり取り押さえたりする「捕物帳」さながらの動画が話題になりました。しかし彼らはエンタメ性を追求するあまり、過剰な暴力を振るったり、誤認の逮捕をしてしまったりと、多くの問題がありました。いうまでもなく「私人逮捕」をしたからといって自分で犯人を尋問したりできないしやってしまったらそれは違法になります。それだけでなく、犯人の顔や個人情報を無断で公開するなどはプライバシーの侵害、名誉毀損、肖像権の侵害などに問われます。「私人逮捕」のエンタメ化は「制度の悪用」であり、制度自体の信頼を損ねかねないから止めなければなりません。

本題に戻ります。犯罪に巻き込まれた場合、どのように「私人逮捕」をすれば良いのでしょうか。まずは現行犯に「刑法213条の規定により、今から現行犯逮捕します」と告げて捕まえ、拘束し、速やかに警察に連行するか、警察が来るまでその場で待機しましょう。注意すべきは以下の4点。

 

  1. 「私人逮捕」の前後には必ず通報し警察が到着するまでの間に限りこの制度を行使しよう
  2. 「私人逮捕」の過程で身に危険が迫った場合は無理をしない
  3. 警察が来るまでの間、周囲の協力を得ながら現行犯を拘束しておこう
  4. ある程度はやむを得ないが、過剰な暴力は暴行・傷害を問われることを頭に入れておこう

 

我々、私立探偵は、「私人逮捕」を余儀なくされる現場に常に身を置いています。適切な行動ができるよう日々研鑽を積んでいますが、これまでもこれからも、法的枠組みと倫理規範をしっかりと守りながら行動することをお約束します。ご依頼はお近くの「ガルエージェンシー」まで。

 


福澤諭吉先生と。

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

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