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選択的夫婦別姓、賛成? 反対?

小泉進次郎氏は、自民党総裁選(12日告示/27日投開票)への出馬表明に際し選択的夫婦別姓の導入を「1年以内に実現する」と公約しました。皆さんはこの公約を歓迎しますか? 慎重な立場ですか?

私は、新婚の頃は仕事では旧姓を使うことも多かったのですが、お給料を振り込んでもらうための銀行口座を夫の姓にしなくてはならなかったため、諦めて夫の姓を名乗るようになりました。でもやっぱり選択的夫婦別姓を可能な限り早く進めていただきたいと考えています。

その理由は至ってシンプルで、結婚前の姓が単に日本に200世帯ほどの珍しい苗字だったからです。結婚して夫の姓になったものの、よく旧姓を懐かしく感じるものだから選択的夫婦別姓が導入されたら旧姓を名乗ろう、と考えています。

ただこの制度、本当に賛否が分かれますよね。単に利便性の観点から選択的夫婦別姓を支持している人がほとんどだと思うのですが、賛否を議論をするシーンになると必ずや論点となるのが国家観や、戸籍制度や、イデオロギーでややこしいことこの上ないため議論すること自体もめんどうになってしまう...。そんな意見も聞きました。旧姓を懐かしんだり、結婚や出産を経ても旧姓のままの銀行口座を使い続けたいと思ったり、結婚して姓を変えることを単にめんどくさいと感じたりすることはごく普通のことなのにね。

中でも非常に困惑する主張は、

夫婦同姓は日本の伝統的な家族を象徴するものであり、選択的夫婦別姓なんかを導入したら社会秩序に混乱が生じる! 第一、戸籍制度と矛盾するではないか*!!

という意見です。正直、驚かされます。私自身は単に利便性のために選択的夫婦別姓の推進を願っていますが、このようにイデオロギーや国家家族観の論争にされてしまうと、つい

選択的夫婦別姓を導入したくらいで崩壊する夫婦関係なら最初から破綻してるんじゃ! あるいは本当にその国家観に陶酔してんなら、そういう古臭いアンタの意識を改革するためにも選択的夫婦別姓が必要じゃーーー!

などと論戦を張りたくなってしまいます(現実に、あるおじさんと飲み屋で大論争になったこともある)。

とりわけ日本の草の根保守系は伝統的な家制度と家族の一体感を重視しますので、選択的夫婦別姓は家族の絆を弱め、社会の基盤である家庭の崩壊につながると考えがちでしょう。でもそれだと、いつまでも一家の大黒柱は夫、家のこと全般を任されるは妻、という性別役割から解放されません。当然、家制度的な性別役割を好む人、好まない人がいるわけだから、やっぱり家族のあり方も「選択的」にした方が望ましいと思われます。

もっとしなやかに、もっと自由に。

 

*戸籍制度は日本国民の国籍と国民の夫婦・親子・兄弟姉妹などを登録し公証する制度で、世界でも稀な制度。

 

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

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