「おっさん政治」はいろいろな人が用いている「造語」ですが、ここで意味するのは、男性、それも十分な政治資金や地盤を持つおじさんが中心となって政治を動かす日本の政治システムを意味します。
「おっさん」は派閥のボスである場合も、ボスの忠実な部下である場合もあります。女性議員でも権力への飽くなき欲望から「おっさん」化する人が見受けられます。
いずれの「おっさん」も、「おっさん」同士の権力闘争に少なからず参戦しています。
戦いとはすなわち、
(1) いかに選挙で票を獲得するか
(2) いかに票を入れてくれる財界や各種団体に有利な政策を通すか
(3) いかに他の「おっさん」を出し抜いて権力を手にするか
いずれの戦いも「カネ」と「票」の獲得をめぐる戦いであり、権力闘争の覇者になるための決め手は政策論争ではなく「カネ」だと考えて間違いありません。
「おっさん」に「カネ」も「票」も独占されている日本の政治システムのなかで、女性議員の割合はたったの1割という少なさです。しかし必ずや、「数が少ないことでなんの問題があるのか?」「実力さえあれば女性だって登用されるだろ?」という反論が飛んできますが、あえてその反論に、さらなる反論を被せてみようと思います。
もしあなたが、財力にも人脈にも恵まれた2世、3世のいわゆる世襲が競い合うさなかに足を踏み入れ、マイノリティとしてのハンデを背負ったとき、「実力さえあれば君にもチャンスがあるさ」と言われたら?
「実力」には、出自や、属性や、性別や、財産や、運気などが織り込まれます。だからマイノリティであることは、それだけでものすごいハンデになる。だからこそ、多くの人は、権力者に気に入ってもらうために忠実な部下を演じたり、不条理な要求にも逆らわず頑張ったりするのは男も女も一緒です。
ただ、とりわけ女性議員は、「おっさん政治」のなかでは圧倒的なマイノリティです。のし上がっていくためには男性とは違う努力の仕方でボスに気に入られる必要があるかもしれないし、ボスをやっつけなければならない時もあるかもしれません(だけど実際は、いかに力のある権力者に気に入られるか、ということが女性議員にとって命題にならざるを得ないのです)。
そういう政治の世界だからこそ、派閥が解消されたからといって、権力者を頂点とした序列関係が解消されるとは限りません。
見渡す限り圧巻の「おっさん」(与党・自民党の風景)
女探偵 堺浄(さかい・きよら)
政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。