家から脱走した犬が子供を含む12人に次々と噛み付きケガをさせたニュースは記憶に新しいですが、先日近所の公園で、女性が連れていた犬が70代くらいのマダムに噛みついてしまった現場に居合わせました。
「そんなこと起こらない」と思っている皆さんも、もしものときにどう立ち振る舞えば良いかを頭の片隅に置いておいていただけると嬉しいです。
2月14日都内の某公園 17時過ぎの出来事
マダムは、犬を連れた女性の少し先をゆっくりと歩いていたのですが、彼らがマダムを後ろから追い抜かそうとした瞬間に、犬がマダムのふくらはぎあたりにカプっと噛みつきました。私は、犬と飼い主の後方を同じく愛犬を連れての散歩中でしたので、その瞬間をたまたま目撃したんです。噛み付かれた瞬間、マダムは「キャッ」と短い悲鳴をあげ、その場にしゃがみ込んでしまいました。
ただ、飼い主もこの時点ではまさか自分の犬がマダムのことを噛みついたとは思わず、しゃがみ込んだマダムをちらっと見ながら通り過ぎるところでした。咄嗟に私は、「飼い主さん、ちょっと待ってくださーい」と声をかけ、「犬がこの女性の足を噛んだかもしれない」と伝えました。
一方のマダムもまさか犬に噛まれたとは思わなかったそうです。ただ足に走った激痛に呆然としていました。パンツを捲り上げてふくらはぎの状態を見てみると、犬歯のあとがグサっとついており、血がどんどん滲んできていました。
噛まれた場合(あるいは自分の愛犬が人を噛んでしまった場合も)、咄嗟に何をしたらいいかを箇条書きにしておきます。噛んだ犬の飼い主がやらなければならないことは、東京都ならば「動物の愛護及び管理に関する条例(第29条)」)に定められています。
犬に噛まれた場合、その場でやることリスト
- まず最初に、飼い主さんの名前を聞いて連絡先を交換しましょう
→できれば携帯電話を聞いて、その上でメールもお聞きしておくのがベストです - その場でその連絡先に連絡し、聞いた連絡先が正しいかどうかを確認しましょう
→ないとは思いますが、偽の連絡先であったら大変なので - すぐに傷を水で洗い流し、傷の大小にかかわらず皮膚科か外科を受診しましょう
→まずは傷口の感染症を防ぐために、流水で十分に洗い流しましょう。落ち着いたら、飼い主さんと一緒に近所の皮膚科か外科を受診しましょう。 - 受診の際は飼い主さんにも同行してもらい、全額負担でまずは医療費を支払っておきましょう
→後々、医療費を飼い主さんに請求することを考えて、全額負担で立て替えておきましょう - 24時間以内に現場を所管する自治体に「事故発生届出書」を出すよう、飼い主さんに伝えましょう
→東京都の場合、これが飼い主さんの義務であることをお伝えしましょう。 - 獣医さんに犬を連れて行った上で狂犬病、感染症の有無を証明してもらい、それを48時間以内に自治体に届け出るよう、飼い主さんに伝えましょう
→飼い主さんが獣医さんのところに行って愛犬の狂犬病、感染症の有無を確認しなければならないことをお伝えしましょう - 飼い主さんにペット保険の有無を聞いておき、治療が全て終わったら飼い主さんに請求をしましょう
→念の為、ペット保険があるかどうかを聞いておきましょう
差し当たってこれだけしておけば後々、トラブルになる確率は低いと思われます。今回のケースでは、双方ともとても冷静でこれらのやり取りもスムーズでした。
ちなみに、その小さくて白い犬は「ナイチャー」(傍点にアクセント)と呼ばれていました。飼い主さんの日本語アクセントが中国語なまりでしたので、おそらく中国か台湾の方かなと思いました。
可愛らしくて、まさか人を噛むような犬には見えませんでした。飼い主さんも「まさかうちの犬が人を噛むなんて」と驚いておられた一方で、マダムもまた「犬に噛まれるなんてまさか思わなかった」と呆然としておられました。
私自身も愛犬家であることから、他の犬に対する警戒心が足りないという自戒の意味をこめて、トラブルに遭遇したときはお互いにしこりを残さないように誠意を持って対応したいですね。
愛犬を守るためにも、まさかのときには冷静に対応したいですね。
女探偵 堺浄(さかい・きよら)
政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。