IT技術を駆使し探偵業を営む筆者の立場からすると、「Googleマップ」というのはもはや不可欠なツールである一方で、残念ながら犯罪に利用される可能性を否定できません。今回は、「Googleマップ」の「ストリートビュー」機能を用いることによって画策されやすい7つの犯罪パターンについて考察していきます。
「ストリートビュー」機能が犯罪に用いられる危険性
その1 -空き巣-
泥棒にとって「ストリートビュー」機能は、「ターゲット」となる家を探し出すためのツールになり得ます。まず、「ストリートビュー」機能で家の周辺環境や、家に押し入るための経路を事前に確認することで泥棒に入りやすいか否かを把握することが可能です。多くの泥棒は、「ターゲット」を絞り込んだ上で実際に見に行き、犯行に及ぶと考えられています。
その2 -ひったくり・スリ-
あらかじめ人通りの少ない場所や、観光客が多く集まる場所などを「ストリートビュー」機能で探し出し、そこでひったくりやスリを行う人もいると考えられます。「Googleマップ」の交通情報を用い、渋滞箇所や人混みの度合いを把握することで、効率的に犯行に及ぶケースもあります。
その3 -強盗-
「ストリートビュー」機能で高級住宅街や金目のものがありそうな住宅を探し出し、強盗を画策する人もいると考えられます。「ストリートビュー」機能ならば、建物への侵入経路や周辺環境を事前に確認することができるため、犯行計画をより詳細に立てることができると考えられます。
その4 -詐欺-
詐欺を行う際、近くに銀行のA T Mがあるか、そこは無人か有人か、人通りはありそうか、静かな住宅街か、などを知るためにも「ストリートビュー」機能が有効であると考えられます。要件が合えば、そこに詐欺の被害者を誘導し、銀行からお金を振り込ませることを画策するでしょう。
その5 -誘拐-
誘拐を企てる場合、「ストリートビュー」機能を使って人目につかない場所の有無や、人里離れた場所の有無をチェックすることが可能です。また誘拐後、どのような経路を辿って見知らぬ土地に連れ去ろうかという点からも「ストリートビュー」機能が有効性を発揮するかもしれません。
その6 -テロ-
テロリストがテロを企てる場合、「ストリートビュー」機能を用いればテロの対象となる場所を効率的に探すことが可能になると考えられます。また警察署からの距離を測ることによって、警察が駆け付けるまでのおおまかな時間を推察することが可能になるでしょう。
その7 -違法薬物の密売-
違法薬物の密売人が「ストリートビュー」機能を使って、密売場所や取引場所を探し出すことも考えられます。ここでも、いかに人通りが少ないか、人目につかないか、警察署からの距離がどのくらいあるか、などがポイントになるでしょう。
いかがでしょうか? まず以上のような犯罪の可能性があることを念頭においていただけたらと思います。その上で、次回は「ストリートビュー」機能から自宅を消去する術をご紹介しますので検討をしてみてはいかがかな、と思っています。
「危険」な場所までもが映り込むため犯罪者にとって格好の情報源なのではないだろうか。
女探偵 堺浄(さかい・きよら)
政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。