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元マトリ(厚生労働省 麻薬取締部麻薬捜査官)にきく -麻薬の恐怖とは?-

日本では国民15歳-64歳の約2.2%(100人に2.2人)に麻薬を使用した経験があります。どうしてここまで増えたかというと、いわゆる「闇市場」へのアクセスが容易になったことによります。私たちの周りには麻薬の誘惑があることを忘れないため、今日は「麻薬の恐怖」について元「マトリ」に話を伺いました。

麻薬常習者にとっての日常は、そのすべてが「麻薬を吸うため」の生活になります。大切な人、大切なもの、大切な日常より麻薬が優先されるそうです。

多くの常習者には瞳孔の開き、目の充血、著しい目の下のクマ、肌の荒れや吹き出物、髪の毛のパサつきと乱れ、激痩せ、虫歯、歯並びの乱れ、身体の傷跡といった外見的な特徴が見られるそうです。行動的な特徴は、カッと目を大きく見開いた状態 (いわゆる目がいっちゃっている状態)でまくし立てるように喋り続けたり、ものを破壊したり、人やペットを攻撃したりすることがあるようです。かと思うと「うつ状態」に陥るので突如変化する日々に周囲は驚くそうですが、常習者からすればこれは幻覚、幻想などによる深刻な不安によるものです。

実際に当事者が麻薬をやめたいと願っても根性や気合いが通じる代物でないことも麻薬の怖さです。常習者になるまでに要した2倍から3倍の時間をかけ徐々に日常の生活に戻るしか方策はないそうです。

尚、麻薬を始める大きなキッカケとしては以下の2つだそうです。

 

  1. ストレスと重圧

確かに現代人はストレスと重圧にさらされ、生きづらさや孤独などを抱えて生きている人もいます。それらを解消しようと麻薬に手をだす人が多いですが、麻薬は根源的な解決にはならず、むしろ麻薬に溺れてしまった罪悪感がさらなるストレスを生み出します。

  1. 好奇心

周囲の人が使用しているのを見たり聞いたりして好奇心から手をだす人が多いそうです。最初のうちは「自分は適切に摂取しているから大丈夫」などと都合の良い解釈をして断続的に麻薬を使用するようになるのが典型的なパターンであると言います。多くの場合、周囲を通じてディーラーを紹介してもらったり「闇市場」に自らアクセスすることによって麻薬を入手します。

 

いかがでしょうか。ストレス、重圧、好奇心のいずれも麻薬で解決されるものではありません。数ある麻薬のなかでも最も危険度の高いのが覚醒剤です(ほかの麻薬なら安全というわけではありません。念の為)。なにしろ極めて高い依存性や精神障害のリスクがあります。心筋梗塞や脳卒中に至るリスクもあります。1g(約100回分)につき20万円ほどの高額であることから経済的にも大きな負担になります。

万が一あなたに麻薬の誘惑が及んだ場合は、これまでに書いた「麻薬の恐怖」を思い出しそれを追い払ってください。

 

*「マトリ」とは、覚醒剤をはじめとする麻薬の製造・密輸・販売、使用を取り締まる厚生労働省に設置された捜査機関。

 


薬物の誘惑が来たら追っ払おう!

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

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