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メンタル不調気味な春 「うつ」に要注意! -更年期世代(45-55歳)の女性編-

今、ちょっとメンタルが不調だな、と感じている方おられませんか?

探偵もメンタルが重要。というわけで今回は女性の「うつ」を、次回は男性の「うつ」を取り上げ、男女別の「うつ」の特徴から「うつ」に陥った場合の対処の仕方を考えていきます。 更年期世代の人も、もっと若い人も必読です。

さて、更年期世代に心身の不調を訴える人は、日本にどのくらいいるでしょうか?
正解は、約52%。更年期世代の半数以上の人が、慢性疲労・倦怠感などの不調を抱えている状況です。
なかでも「うつ」は深刻で、多くの方が更年期症状と併発して「うつ」を抱えているそうです。更年期世代の「うつ」が与える労働損失はなんと年間6,300億円。このような莫大な損失のことを専門用語で「更年期ロス」と言います1

女性に顕著なのは、まず「うつ」になる割合の多さです。「うつ」になる割合を男女比較すると、男性約12%に対し女性約25%と、女性が男性の約2倍となります。また、通院などをして治療に取り組んでいる女性の割合の低さが問題となっています。更年期世代のうち、「うつ」による通院経験を男女の間で比較すると、女性は約17%と、男性32%の約半分となります。


図1 更年期世代のうつ症状による通院経験の男女比較(%)
内閣府男女共同参画局.2017年「男女の健康意識に関する調査報告書」をもとに筆者作成 

 

なぜ、更年期世代の女性は通院をしない傾向があるのでしょうか。

仮説の域を出ませんが、おそらく育児・介護といった家庭での仕事と職場での仕事で手一杯のため、自分のケアが疎かになっているのではないかと思われます。当然、「うつ」は重症化・慢性化してしまうことになります。

一方、「うつ」をたとえ自覚していたとしても、「更年期だから」などと、問題を自分の内面に押し込んでしまい、真正面から向き合わなかったりといった問題も考えられます。これも忙しさからくる問題かもしれませんが、実際に、肩こり・のぼせ・疲労感・倦怠感などの更年期症状を訴える女性のうち、約30%がうつ症状を併発していることが分かっています2

疲れやだるさが抜けない、睡眠が思うように取れない、気分が落ち込む、突然涙が溢れ出てくる、などの症状がある場合、ご自身の生活環境に無理が生じていないか、休息が不足していないかを点検してみることを強くお勧めします。

更年期世代の女性が「うつ」を患った場合、とにかく能動的に「休む」ことが必要です。また人間関係も決してあなたの人生の全てではありませんから、あくまでも「適度に」関わることが重要です。

そして「不調だ」と感じた場合は、精神科や心療内科を訪れてみてください。筆者は以前、いわゆる産後の「うつ」によってメンタルケアを受けましたが、今は病院の雰囲気もよく、若い人からお年寄りまで多様な人が治療に訪れていることに驚きました。

不調の時は、少し周囲に弱みを見せることも重要です。助けを求めたり弱みを見せたりするのは、決して恥ずかしいことでないことを日頃から感じ取ってみてくださいね。

 

1 NHK.「“更年期ロス” 100万人の衝撃

2 後山尚久. 2010. 「更年期女性のうつ病の特徴と臨床的対応」『産婦人科治療』101(4),385-392.

 

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

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