先日、国内最大級のメガバンクである三菱UFJ銀行が発表したニュースが波紋を広げている。同行の支店で管理職にあった行員が貸金庫を不正に開け、金品を盗み続けていたことが明らかになったのだ。その被害総額は驚くべき10数億円。被害に遭った顧客は約60人にのぼるという。
この事件が公になるきっかけとなったのは、貸金庫を利用していた顧客からの相談。「預けていたものがなくなっている」という訴えを受け、内部調査が進められた結果、問題の行員が犯行を認めたという。彼は練馬支店や玉川支店で貸金庫の管理を担当する立場にあり、その権限を悪用して犯行を重ねていた。
手口以上に浮かび上がる疑問
この事件について、多くの人が犯行の手口に注目しているが、気になったのはむしろ別の点だ。なぜこれほどの規模で被害が発生しながら、4年以上も発覚しなかったのか、ということだ。
一般的に、貸金庫は利用者が預けた貴重品を安全に保管するためのものである。だが、その特性上、「頻繁に中身を確認する」人は少ないだろう。とはいえ、数十人もの顧客が数年にわたり異変に気づかなかったというのは、どうにも腑に落ちない。
貸金庫に預けた貴重品が盗まれていたとして、それを確認するのに4年半もかかるのだろうか?しかも、利用者全員がそうだったと考えると、管理体制だけでなく、利用者側の意識にも疑問が残る。
銀行の対応と信頼の行方
三菱UFJ銀行は、この問題に対し「深く反省し、顧客への補償や再発防止に努める」とのコメントを発表している。また、不正行為を行った行員については懲戒解雇処分を下したという。しかし、利用者の信頼を回復するには時間がかかるだろう。
今回の事件は、貸金庫という「安全神話」の裏に潜む盲点を浮き彫りにした。銀行側が再発防止策を打ち出すのは当然だが、利用者側も「預けっぱなしにしない」という意識を持つべきかもしれない。
今後、さらなる事実が明らかになれば、この事件の背景には他の要因が絡んでいる可能性も考えられる。本件が貸金庫の利用や管理にどのような影響を与えるのか、注視していきたい。
探偵N
得意分野は、地域密着型の調査とグルメ探訪。地元住民との深いコネクションを活かし、現地でしか手に入らない情報や事件を次々と掘り起こします。